BLEACH

□グリムジョーの願い事(?)
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現世や瀞霊廷が七夕祭りを満喫している頃
破面達が生息している虚圏でも七夕が話題となっており
十刃同士でこの事を話しているのを見かけない方が
稀だというくらい徹底に染み渡っている。

「今日は七夕だね、ギン」
「そやね。何のお願い事しまひょ」

藍染と市丸が話している内容を
たまたま聞いた黒い髪に緑の瞳を持つ十刃No.4
ウルキオラがふとこう呟く

「…そうか…今日は"七夕"か」
「なァにこんな所に立ち止まってんだァ?
クアトロ様ともあろうものがよォ!?」

ウルキオラを前にし、そう突っかかりかけてきたのは
長い黒髪にガリガリの体つきが特徴の
十刃No.5ノイトラだった。
ノイトラの煽りに対してウルキオラは
取り乱すこともなく冷静なまま。

「…ノイトラか」
「あァ!?んだよその面は。
もっと反応してもいいだろうが!」
「貴様の無駄な煽りに余計な体力を使うほど
俺は暇を持て余していない。」
「…ちっ、つれねぇなオイ」

ノイトラはウルキオラの反応に苛立ちを覚え
その苛立ちを紛らわすかのようにその場を
ひたすらうろちょろし始める
そこへ新たな十刃がその場に紛れ込む。

「何してんだよ」
「…グリムジョー」
「グリムジョー何しに来やがった」
「別に、暇だったから来ただけだ
まァテメーらをぶっ潰してもいいんだぜ?」
「誰を潰すだと?貴様はあくまでもNo.6だ
ノイトラならともかく俺を前に勝利はない」
「…ヒャハハハハッ!!言ってくれるじゃねぇか、あァ?」
「…めんどくせェ…イールフォートとこ行くk
「おい誰のせいでもめたと思ってんだ!?💢」

三人が言い争いをしていると先程市丸と話していた
藍染が三人の前に姿を現す。

「まぁ三人とも喧嘩は止しなさい」
「ッ…藍染様」
「…ちっ」
「………」

藍染が一言注意をすると三人は言い争うのをやめる。
そして三人は直ぐ様藍染に跪く。
三人のその行動に藍染は深く感心し

「流石は私が認めた十刃だ。
そんなお前達にはご褒美をあげよう。手を出しなさい」

三人が素直に手を差し出すと藍染は
其々の手に何かを手渡す。
藍染から配られたご褒美というのは──

「それは七夕に使う短冊と言うものでね。
それに願い事を書いて吊るせば願いが叶うんだ。
今日は七夕だから今日くらいはゆっくり楽しみなさい」
「有難う御座います、藍染様」

藍染は短冊を渡して説明をし終えると立ち去っていく。
そして藍染の姿がなくなると再び三人の劇場が始まる…

「…願い事か」
「クアトロ様にも願い事とかあんのかよ」
「…藍染様がそう御作りなさった。
俺にも欲の一つや二つくらい存在する。」
「ハッ、そうかよ。
で、グリムジョーはどうな…あァ?何してんだ」

ウルキオラとノイトラが会話している間
グリムジョーは短冊に願い事を書きもせずに
自分の耳に紐を結びつけようとしていた。
まさか………

「…グリムジョー
先程藍染様が仰っていた言葉を聞いてなかったのか?」
「あァン?んだよ」
「藍染様は"願い事を書いて吊るせば願いが叶う"
と仰っていた筈だ」
「あァ…そういやそうだったかもな
けどもう吊るしちまったし」

グリムジョーは堂々と耳に紐を結びつけて
短冊をぶら下げていることに違和感を覚えないのか
吊るしている場所に関しては突っ込まなかった。
ウルキオラがグリムジョーにこうだろうと
指摘している時ノイトラは肩を震わせて笑い堪えていた
ウルキオラの指摘が終わるとグリムジョーは
顔を真っ赤に染め上げてウルキオラに怒り始める。

「ったく最初からそう言えよ!!」
「お前が勘違いして行った結果だ」
「ッ……そ、それは…」
「ヒャハハハハッ、ば…バカだろグリムジョー…
願い事を書いた紙を耳にぶら下げる奴なんて
見たことも聞いたことねぇよ…つか
以前にてめぇは願い事すら書いてねぇ」
「る、るせぇッ!!
吊るす場所わかんねーんだよッッ!」
「…取り合えず願い事を書かなければ先には進まん
二時間後に大竹の下に集合だ」

ウルキオラがそう言うのを合図に三人は
それぞれの宮に帰っていく。

三人が解散してから二時間後、
八時になった虚圏では七夕祭りが開催され
たくさんの屋台が並び一層賑やかになっていた。
屋台の近くに一際目立つ一本の大きな竹があり
そこには沢山の短冊が吊るされていた。
そしてその竹を前に立ち尽くす二人の十刃がいた。

「グリムジョーの奴何をしている?
約束の時間が過ぎている」
「まだ願い事決めてねぇだけだろ」
「にしては時間かけすぎだ」
「相変わらず時間にシビアなクアトロ様なこったァ」
「口を慎め、グリムジョー」
「おい、ノイトラだ」
「…口を慎め、ノイトラ」
「言い直すんじゃねぇ、怠りィんだよ」

ウルキオラとノイトラは時間通りに来たが
グリムジョーは来ていなかった。
十分経っても来る気配がなかった為ウルキオラがこんなことを言い出す。

「…グリムジョーの宮に行ってくる」

それもノイトラの発言に安定の無視で。

「あァ!?んでだよ」
「いくらなんでも遅すぎるからだ
こうやっていつまでも此処でずっと立ち尽くして
時間潰すより迎えにいく方が効率がいい」
「てめぇの言い分だと死を迎えるのと同じだなオイ
…ってあァ?おい待てウルキオラ」
「なんだ」
「短冊にグリムジョーって書かれた奴ある」
「なんだと?」

ノイトラはウルキオラと話している最中に
短冊を色々と見ていたらたまたま
グリムジョーと書かれた短冊を見つける。
ウルキオラも背を戻しノイトラの隣に行き確認する。

「…確かにこれはグリムジョーのだ」
「あァ!?アイツ何先吊るしてやがんだ?!」
「…余程大事な事情が出来たのだろう
ちゃんと願い事を書いて吊るしたのならいい」
「はァッ……たくテメーは甘ちゃんなのかシビアなのか
分からねぇったらありゃあしねぇ。
で、願い事は何書きやがったんだ?」




「………」
「バカかアイツは」
「………これは間違いなく願い事ではなく
バカの思い込みだ。」
「はッ、カスが」

【グリムジョーside】
「へっくしゅッ!!
あァ…?誰か俺の事バカにしやがったか…?」


END.

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