BLEACH

□いつも以上に頬が冷たい
1ページ/1ページ


「あー、やっぱ屋上は空気がうめェな!」
「…ああ、そうだな」

そう会話をするのは一護と冬獅郎。
午前の授業を終え昼休みに入り屋上に来ていた。
二人は一年の頃に同じクラスになり一護が
一人ポツンと居た冬獅郎に話しかけたのがきっかけで
仲良くなり二年となった今では親友である。

「…もしも」
「あ?」
「…もしも俺がてめぇのことが──」
「黒崎くん〜!」

冬獅郎が続けようとした最中にとある人物が訪れて
冬獅郎の言葉が遮られる。

「井上!?どうしたんだよ、こんなとこまで来て…」
「えへへ…実はお弁当作ってきたんだけど…
良かったら食べてくれないかな…?」
「すげェな井上…
こんな豪華な弁当簡単に作っちまうなんて」
「そんなッ…大袈裟だよ黒崎くん…」

二人がそうやって会話しているなか冬獅郎は
一瞬のうちにしてその場から姿を消していた。
何処へいったのかと思えば冬獅郎は二人から見えない
同じ空間の所に身を隠していた。

てめえに彼女がいる時点で
てめえとの関係がこれ以上になることなんて
絶対に有り得ねえって分かっていた。
なのにああしててめえと話してると無意識に
これはもしかしたらいけるんじゃねえかって
勘違いしてしまうんだ。
諦めなきゃって何度も思っていたけど
どうしてもこうしても諦められねえんだ
絶対に……叶う「敵う」はずなんてねえのに

「…?あれ…」
「どうしたんだよ、井上」
「そう言えば…日番谷君が居ない…」
「冬獅郎?冬獅郎なら俺の隣に……ってあれ居ねえ!?」

……もう少しだけお前の隣にいたかった。
"恋人"という特別な存在じゃなくてもいい…
"親友"としてでもいいからお前の隣に──……


ああ─どうしてだろうか?
外は決して雨が降っている訳でもなく快晴で
季節も暖かく落ち着きのある秋のはずなのに
どうしてこうも顔が濡れた感覚に陥るんだろうか。
どうしてこうもいつも以上に頬が冷たいんだろうか。

ああ、

そうか。

いつも以上に頬が冷たいのは───



END.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ