BLEACH

□歪んだ愛の祈り
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現世だけではなく尸魂街にも蒸し暑い夏を迎えていた
そんなムシムシとしているなか、五番隊舎の藍染が
仕事をしている任務室にとある人物が訪る

「藍染は〜ん」
「おや、ギンではないか。もう仕事を終えたのかい?」

三番隊隊長の市丸ギンだった。
市丸はひょっと襖から顔を覗かせ藍染に手招きされると
それに誘導されるかのように藍染の近くに歩み寄る。
そして藍染に質問された事にソファーに座りながら答る

「うん、イヅルがしてくれるんよ」
「いやそれ終えたと言わないよ、ギン」
「まぁまぁ、ええやないの」
「仕方ない子だな…(イヅルクン…申し訳ない…)」

藍染が心のなかでイヅルに謝っていると市丸がふと
こんなことを藍染に問いかける。

「…藍染はん、今日は何の日か知ってはります?」
「…ああ、今日は七夕の日だね」
「流石藍染はんや♪」
「いやこの事で褒められても嬉しくないな…」
「七夕の日やし折角やから願い事、書きはらん?」

市丸はただただ普通に誘うわけではなく死覇装を
ほんの少しはだけさせて艶やかな空気で誘い込む。
すると効果があったのか、早速藍染ははだけている方に
目をチラチラと移し始めたのだ。
そしてハァと溜め息をついて口を開く

「…全く私は困った狐を飼ってしまったようだ」
「えッそれって…!」
「うん、行こうかギン。
でもその前にまずは死覇装だと雰囲気が出ないだろ?
だから浴衣というものを着ていこうではないか」
「浴衣…うん、ええやないの。それ着ていきますわ」
「よし、決まりだね。
衣装は私の部屋の所に確かあるから選んできなさい。
私はこの書類を見終えたらすぐ向かう」
「わかった、ほなお先」

藍染が部屋に沢山の衣装を置いているから
そこから自分の好みの浴衣を選んでいてくれと告げると
市丸も乗り気ですぐソファーから立ち上がり
子供のようにルンルンとして部屋を出ていったのであった。

「…ギンからこうして誘われることを
予想してしまっている私自身にも困ったものだ。
…でも恋人だからこそ有り得る事なのかもしれないな」

藍染は一人そうぶつぶつ呟きながら書類を見る。
市丸が居たときは賑やかだったのが今は一人で
部屋はシーンと静まっており時折風鈴が音を飾らせる。

約10分経つと藍染も書類を片付け終えたのか
立ち上がってギンが居る部屋、自分の部屋に足を運ぶ
自分の部屋の前につき襖を開けた瞬間…

バシン!!!

「ぐはッ!?」

開けたのと同時に何かが当たる音と藍染の呻き声が上る
一体一瞬のうちにして何があったのか。
そこに市丸が声をあげる。

藍染はん!これどゆことやッ!!
ボクに恥かかせるつもりなん!?」

どうやら市丸は怒っているらしい。
藍染はぶつかった所をさすりながら市丸の姿に目を配る
すると藍染は「あ…」と言いながら再び固まる。

「ほんまッなんやこの浴衣は!?💢
ふざけとるどころやありませんやろ!?」
「そ、それは真面目に…」
「真面目にしてて何で乳首んとこ穴空いてるん!?

そう────…
藍染が用意していた浴衣の全てには細工が仕組まれて
乳首のところには穴が開いており、着ると
乳首だけが顔を覗かせるようになっていたのだ。
その衣装を変えようとしても他の衣装も全て
乳首のところだけ穴が開いており、
着替えたくても着替える気にならない市丸は
諦めと怒りを露にしたその結果、
藍染に憤怒の一撃を喰らわせることとなる。

「ボク、こないな格好では行けませんわ」

そう市丸が拗ねながら呟くと藍染は反省した
のかと思いきや、無言で市丸の方に近づいて
市丸の前に来た瞬間ニヤリと口角をあげてこう囁く

「 最 初 か ら そ の つ も り は な い よ」

そう囁き終えた瞬間市丸を思いっきり押し倒す。
市丸もいきなりの瞬間だった為抵抗できずに
されるがままに藍染に押し倒される。
優しく押し倒されなかった為に痛々しい打音が響く

「あいたッ…な、何しますのん…ッ」
「素直に私が行くとでも思ってたのかい?ギン」
「な…んでですのん…?先程の返事は嘘でしたん…?
ボクと行きたくないと…そう言いはってるんにしか…」
「そうではないんだ、ギン
"お前は人気の多い場へ行くべきではない"只其だけさ」
「な…ッ言ってはる意味がッわかりまへんわッ…」
「だからこう言っているんだよ、ギン」

藍染はそう呟きながら市丸の耳元に口を近づけて
いつもより低いトーンで囁く。

お前は私だけのものだ。
だからこそ他の者に魅せたくないし視られたくない
と」


....
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