BLEACH

□海陰の艶やかな生き物
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「なぁ、海に行かねぇか?」
「…………は?

時の季節は冬眠していた筈の虫達が
顔を出し活動をし始める暑い夏。
夏と言えば元々暑いのだが、近頃では
地球温暖化と言う厄介なのが促進してる為
暑いのが更に暑い。
今にも溶けて空気と同化してしまいそうな位
それほど今夏は暑い。

夏が大嫌いな冬獅郎は一護の家で
クーラーのよく効いているリビングに
いとまさせてもらっていた。
一心や遊子、夏梨達は子供会の旅行に行っている為、一護と冬獅郎だけ留守番。
冬獅郎がリビングが涼しげにアイスを
食べていたときに一護が発言した言葉…
そして、現在に至る。

「……黒崎……」
「あ?なんだよ」
「……てめえ…ふざけてんのか?…」
「何でふざける必要あんだよ!?
こんなあっちぃのにふざける体力すらねぇよ…」

と、一護もかなりのバテ具合のようで
冬獅郎の問いに応えると暇もなく直ぐに
ソファーにボサッと倒れこむ。
その様子を見ながら冬獅郎は疑問を推す

「……ここの風呂だと……駄目なのか?」

冬獅郎の疑問に一護はソファーに
顔を埋めたまま籠る声でダラダラと喋る。

「…親父が"風呂じゃなく海にでも行って
男のロマンを楽しんできたらどうだ?
ただ海を見るとか泳ぐってのはアレだし
サーフィンでもしてこい!"
って」
「……てめえの親父はバカなのか
只のロマンチストなのか分からねえ…」
「だろ?んで俺が"サーフィンつっても
道具とかはどーすんだよ?"
って訊くと
それが想定内だったのか満面の笑みで
“俺のお古だけど使え(キリッ”って
サーフィンセットを渡されたんだよ」
「そこまでくると何とも言えねえんだが」
「まあ、てなわけで…冬獅郎、サーフィンしにいこうぜ」
「断る」

一護がダラダラと喋り説明し終えて
じゃあ早速サーフィンしに行こうぜと
誘うも冬獅郎は即却下を下す。
断られる可能性も頭に入れていたものの
いざ断られるとなるとショックらしく
一護はガーンと効果音と共にソファーにめり込む

「……」

そしてまるで死んだかのように
言葉も発さず、背中も上下せず…
冬獅郎は急に心配になり一護に近づき

「お、おい…ッ…?黒崎ッ…!?起きろッ…
黒崎ッ…!!!」


と一護の体を揺さぶっては息をしているか
一護の胸元に耳を寄せて確認をする。
その冬獅郎の行動に突如一護が吹笑う。

「…くッ…」
「……は?
「…ッ…はははッ…!!か、可愛すぎんだよッ…」
「……………………」
本当俺の事好きなんだな、冬獅郎は
「なッ…そ、そんなんじゃねえ!!」

冬獅郎は最初は怒りを込めた顔だったのも
一護に可愛いとからかわれて顔を
ほのかな赤に染め上げる。
そしてそんなんじゃねえと否定しながら
顔をそっぽ向かせるとその瞬間一護が冬獅郎を抱き寄せる
そして肩にぽすっとかけて

「…え"」
「しっかり捕まってろ、でなきゃ落ちるぜ?」
「…え、いやまて黒崎…てめえは何を──」
「決まってんだろサーフィンしに行く」
「な、おッ…俺は行かねえって言っただ…ぎゃあああ




それから一護の肩にぶら下げられて
誘拐(に見えるだけ) され続けて半時間
冬獅郎は初めの内は思いきり抵抗するも
抵抗するにつれ暑さに体力を奪われていき
終いには抵抗する力を失い身を委ね終わり。

「おい、冬獅郎。着いたぜ」
「…………何処に…だよ」
「はぁ?寝惚けてんのか?ほら、海だって海」
「…ん…海…?…はッ!」

暑さにバテた上体力を奪われていた為
軽く意識を失っていたが一護の言葉で
意識を戻し目を覚ます。
そして地面に足を着地させて
一護が見つめる方向へと目を移す。

「ッ……此処が…“海”」
「ああ、そうだ。綺麗だろ?」
「……ああ。綺麗…だ」

冬獅郎は暑さを忘れて海に見入っていた。
こんなにも綺麗なモノなのかと
深く感心しながらただひたすら眺める。
冬獅郎の様子を見て疑問を抱いたのか
一護は頭に?を浮かべつつも問いかける

「もしかしてだけどよ、」
「…なんだ」
「冬獅郎って海、見たことなかったのか?」
「…ああ。今初めて目にした」
「…なるほどな、通りで見入るわけだ」

一護は直ぐ様納得をし冬獅郎と眺める
暫くして眺めていると冬獅郎が
いきなり思いもよらない発言をする。

「…黒崎、…したい」
「はぁ!?冬獅郎ッ…てめッ……何言って!?
わ、分かってんのか!?一応此処は公共の場
こんな人混みのなかでシたいってのは─」
「?てめえは何を言っている?
サーフィンってのは海でするものだろうが」
「…………あ、そっちか」
「はぁ?そっちってそれしかねえだろうが」
「そ、そうだな。じゃあサーフィンの準備で
水着は着てっから…後はサーフボードに
細工をするのみだな」
「細工?サーフィンとは
乗るだけのスポーツではないのか?」
「まあそうっちゃそうだけどよ
海のスポーツとして危険も潜んでるから
危険に備えも必要だからな」
「…分かった」
「よし、じゃあ海の近くまで取り敢えずは行こうぜ」
「…ああ」

二人は持ってきた荷物を背中に抱えこみ
海の方へ近づき歩いていく。海の近くまで行き
人があまり密集していない所を見つけると
その場に二人は背を下ろし荷物を置き
サーフィン用具等を取りだし組み立て始める
一護は何とか分かるも冬獅郎は固まり
一護の方をガン見しつつ戸惑っている

「そいや冬獅郎は初めてだったな
待っててくれ、今すぐ終わらせるからよ」
「……ああ」

冬獅郎が返事をすると一護は急ぎ気味で
自分が乗るサーフィンの用具の準備を
テキパキとし始める。
その様子を冬獅郎は無言で眺める。

「……っと…デッキパッド貼ってサーフワックスも塗ったから
後はリッシュコード…これは後でいいか
よし、冬獅郎待たせたな」
「いや、見ていたから大丈夫だ」
「良かった。じゃあ冬獅郎のも準備するぜ」
「…有り難いのだが…」
「?」
「その先程お前が言っていた“デッキパッド”
やら“サーフワックス”と言うのは…」
「デッキパッドはサーフィンのボードの
後ろ足が滑らないように
する為に貼るゴム製のパッド
の事さ
それとサーフワックスってのは
デッキに塗る滑り止めの事だ。」
「滑らないように、か」
「そう言うことだ!用語は覚えなくても
危険から身を守れたらいいんだ」

一護は長々と説明しながらもテキパキと冬獅郎の
サーフボードに細工をする。それも丁寧に。
その様子に冬獅郎も思わずうっとり。
そして細工し終えたようで一護が
冬獅郎の方に顔を向けて笑顔で言う、

「ほら、冬獅郎の分だ!」

その一護の表情は冬獅郎には
とても眩しい太陽に見えたとか。
冬獅郎は照れ照れし目をそらしながら
小声で呟く。

「……ありがとう

....
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