BLEACH

□ずっと恋人でいたい
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「あらら、酷いなァ…日番谷はん。
傷付いて我を忘れた女の子を
あない思いきり殴らんでもええのに」
「…ッ……市丸…てめえの目的は何だ…
藍染だけじゃ、足りねえか。
雛森までこんな目に合わせやがって…
血が滲むほど刀を握り締めなきゃならなくなるまで
こいつを追い詰めやがって…ッ……」

姉弟のように一緒に育った雛森が
血を滲ませ刀を握り締めている事に、
冬獅郎は我を忘れて
怒りを込み上げさせて市丸にぶつかる

「…はて、何のことやら」

市丸は表情を変えずにそれだけ呟き返す。
冬獅郎は血相を更に深く変えて物言う。

「…言った筈だぜ
雛森に血ィ流させたらてめえを殺すってな…」

その発言に市丸は一瞬哀しい顔を見せ
またすぐに戻して

「…あかんなァ…
こないな処で斬魄刀抜いたら…
ボクが…止めるしかないやないの」

と呟きながら市丸も斬魄刀を構える。
すると間もなく冬獅郎が斬りかかる。
それを手際よく受け流す市丸。

ギギギッ……

「ッ……相変わらずッ…強いな、日番谷はんは。
ボクと毎日稽古してたから更に─
「……今更その話はやめろッ……
てめえは雛森に血ィ、流させたんだ…
だから俺はてめえを殺すのみ───
「……ボクを殺せるん?
「…何が言いてえ」
「せやから、
"恋人のボクのことを躊躇無く殺せるん?"
って訊いてるんやッ…!」

カキンッ…!

「……ッ……くッ……!」

市丸は質問をしながら冬獅郎の斬魄刀を弾く
一方冬獅郎は言葉を詰まらせて
答える事が出来ない上、市丸に弾き返される

「……ッ……」
「…そろそろ時間や…ほなお先、日番谷はん」
「まッ……待てッ……!」

冬獅郎はその場を立ち去ろうとする市丸を
引き止めるも市丸は苦笑のような
気持ちの良いわけでもない笑みを浮かべ

「…ボクの事を追うより、
五番隊副隊長さんをお大事に。」

そう呟きながら背を向けて立ち去る。
再び止めようとするも出来ず、
何も言えないまま居なくなってしまった。

「…………ッ……」

其処へ乱菊がやってくる。

「…隊長」
「…松本か。」
「はい。……あの隊長…」
「…話、聞いていたのか」
「…はい。すみません…
加勢するつもりでしたが状況的に
入ってはいけないと思い、その場に待機しておりました」
「…そうか。すまん、気を遣わせてしまった」
「いえそんな…隊長が謝ることじゃ─」
「……松本、今日は上がらせてくれ…」
「え…あ、はい…」

冬獅郎は埃を払い、直ぐ様背を向けて
今日は仕事は終わりだと告げて
そのまま自舎へと戻っていくのだった。



冬獅郎は自舎へと帰って自室に戻ろうと歩いている時
ふと市丸の事を頭にする。

……市丸────
てめえは…何を企んでやがる…?
俺とお前は恋人として付き合っているが
付き合う前に条件を出していた筈だ。

“付き合うからにはお互い隠し事は無しだ”

それなのにお前は──ッ
でも…市丸が隠し事する事が予想できない
いや─────し た く な い んだ。


「ッ……!!」

そう考え込んでいると
左胸に針が刺されたような痛みが走る。
冬獅郎は痛みが走る場所を掴みながら呟く。

「……市…丸ッ……ッ……」




【市丸side】
…あァ、今日は派手にヤラかしたわ。
と言うより不信感を持たせてもた
が正しいかもしれへんなァ…
よりによって日番谷はんに…

…………、
ボクと日番谷はんは約一ヶ月前から
付きあっててキスも行為もしとる。
せやから藍染はんに今すぐ
付いていく事となっても、ボクは悔いなく
離ればなれになれると思ってたんや

…せやのに…キミを見るたんびに
ボクの中でこないな想いが動き回るんや

“離れたくない”
“別れたくない”


そして
“恋人として居りたい”

…情けない話やで。
先程の起事で…もう戻られへんような線を…
引いてしもうた気がすんのに…ッ…
すんのにその欲望に満たされますんや
一度こないして怪しませてしもうたら
御仕舞いやと判りきってたのになァ…
ほんまどないしたんやろうなァ…ボク


....
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