BLEACH
□温泉にて桃桜乱【前篇】
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【現世side】
「桜の季節か…はえーもんだな」
そう桜を見つめながら呟いたのは
元旅禍で現死神代行の黒崎一護。
橙の髪に不機嫌そうな顔つきが特徴で
顔つきは怖いが困っている人を
見かけると放っておけない優しい性格。
そんな彼、一護の元にある人物が姿を現す。
「黒崎くんっ!」
「っ…ッ…井上!?どうしたんだよこんなところで」
クラスのマドンナ的存在の井上織姫。
橙の綺麗な長い髪が特徴で優しく少し天然系である。
また一護に密かに恋心を抱いている。
「これから桜見温泉旅行に行くから
準備として買い物してたんだ〜っ!」
「桜見温泉旅行?なんだそれ?」
「え?黒崎くん誘われてる…よね?」
「いや、初耳だぜ」
「あれ…乱菊さんは黒崎くんも行くって…」
「はぁ!?んなこと聞いてねーぞ…」
「ちょっと確認とって来るねっまた家に電話する!」
「あ、まて井上──…」
一護が呼び止める前に
織姫は急ぎ足で姿を消してしまった。
「桜見温泉旅行って…なんでまた…」
一護は一人呟きながら織姫の電話が
いつ掛かってもいいよう家にのんびりと帰っていく。
…
ガチャ…
「ただいま〜っと」
玄関に入り靴を脱いで階段を上る。
上りきり部屋を開けるとコンが
腕を組んで此方を見て待ち構えていた
「うぉお!?」
「帰るのおせーんだよ一護。」
一護は一瞬驚くもすぐに平常心に戻しコンに問う。
「はぁ、ったく…んだよ?
其処で腕組んでなんかあんのか?」
「あるからこうして待ち構えてたんだよ」
「そっか。で、なんだよ?」
何があるのかを問いかけると
コンは一護の机に置いてある紙を取り
それを此方へ持ってくる。
「ほらよ」
コンに渡された紙を受け取る。
そこに書かれていた言葉とは。
![](http://id5.fm-p.jp/data/631/irokenoyado/pri/6.jpg)
「!?なんだよコレ!?」
「誰かの恨み買っちまってるな」
「ま…まじかよ…」
コンの言葉を鵜呑みにしてしまった一護は
怖くなりその紙を開けることが出来なかった。
…
【冬獅郎side】
「はぁ…ッ……はぁ…ッ……」
冬獅郎はあれから自隊舎から現世まで
ずっとハードな瞬歩をし続けていた。
(例えるとマラソン並にハード)
現世の好きな人の家に直接向かう冬獅郎。
…
「…ッ……」
好きな人の家に着くと冬獅郎は胸を押さえ込む。
長らく走り続けたせいなのか
それとも緊張しているせいなのか
心臓が大きく脈立っている。
冬獅郎は深呼吸をして息を整える。
覚悟を決めてインターホンに手を伸ばそうとする。
そこへ…
「あれ、冬獅郎が居るぞ一護」
「なッ」
インターホンを押す前に上から声が響く。
その声の主は見なくてもわかる、コンだ。
冬獅郎は恥ずかしくなってしまい
急いで黒崎家から逃げようとするも
「…冬獅郎?どうしたんだ?」
二階の窓から呼び止められ一瞬躰をびくつかせるも
すぐに振り向きいつものように冷たい雰囲気を帯びせ
「………冬獅郎じゃねえ。“日番谷隊長だ”」
いつもの決め台詞を発する。
それに対し一護は苦笑いし軽く流す。
「へいへい。で、なにしに来たんだ?」
冬獅郎の顔をじっくり見ながら質問する
冬獅郎は軽く目を反らせて
「………変な手紙来なかったか」
総隊長が書いた手紙は届かなかったかと問いかける。
その質問に対し一護は最初は
そんなもんあったか?と言うが
途中、そういや…と部屋に入り
あの紙を持ってまた窓から顔を覗かせる
![](http://id5.fm-p.jp/data/631/irokenoyado/pri/6.jpg)
「これの…ことか?」
一護は冬獅郎に見えるように
差し出すとソレをみた冬獅郎は目を大きく開けて
「挑戦状だとッ…!?」
まさか総隊長がそのような言葉を
書いているとは思ってもいなかった為
驚きを隠せない冬獅郎は
いつの間にか二階まで瞬歩していた。
「うぉお!?」
「………なんで挑戦状…だよ…」
冬獅郎は大きな溜め息をつきながら
がっくりと肩を落とす。その様子に一護が
「まさかこれって冬獅郎のだったのか?」
「………ああ、そうだ」
冬獅郎は頭を下げながら"ああ、その通りだ"と答える
それを聞いて一護は驚き震えながら問う。
「冬獅郎…お前…俺のこと恨んでたのか…?」
その一言に冬獅郎は不思議そうな顔をする。
「?なんのことだ」
「いや、だって…
"挑戦状は恨んでる奴に出すものだ"ってコンが─」
「………………………………」
一護の言葉を聞いた瞬間冬獅郎は無言になり固まる。
どうしたのかと心配になる一護。
動き始めたかと思いきや冬獅郎が手を背中に回す。
「ま、まさか………」
一護は嫌な予感がする。
その一護の予感は見事に当たっていた。
冬獅郎は斬魄刀を手にしていた
そして………
「覚悟しろ…コン」
「え、あの日番谷隊長?」
「お、おい冬獅郎?よせ…ッ…」
「"霜天に坐せ…氷輪丸!!!"」
「「ぎゃあああああああ!?」」
冬獅郎の氷輪丸にて黒崎家ごと凍りつくされる。
一護に余計な誤解を生ませた罰として
氷輪丸の刑を下した冬獅郎だった。
....