BLEACH
□温泉にて桃桜乱【前篇】
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マユリの妖しげな入浴剤創作が行われている頃、
冬獅郎は自隊舎にて悩んでいた。
「………だああぁッ!
…なんて書きゃあいつは…ッ……」
冬獅郎は何やら紙に文字を書いている様子。
何度も書いては捨ての繰り返しをしていた。
とそこへタイミングよくコンコン…と誰かがノックをする
「ッ……誰だよ」
冬獅郎は書くことに必死なため
不機嫌そうな声で返事をする。
そこに居た人物は
「ちょっとよいかの?」
「ッ……!?総隊長?」
総隊長が冬獅郎の元へ自分から訪ねてきたのだ。
総隊長が態々自分のとこへと
足を運ぶとは思わなかったため一瞬言葉を失う。
言葉を失っていると総隊長が発する。
「…?なんじゃこの部屋…紙まみれじゃ」
「あ…えと…これは───」
「ほう、これはラブレター…じゃの?」
「なッ……ちがッ…そのッ…!」
冬獅郎はある意味図星を突かれて
顔を林檎のように染め上げる。
「ラブレターならこの総隊長のわしに任せるんじゃ」
「え…あの…いいんですか?」
「よかろう。こう見えてもわしは昔は
ムッチムチのぴっちぴちのフッサフサのムッキムキのダンディーじゃったからな」
「は、はあ…」
総隊長は自信満々にそう言うが
冬獅郎には伝わっておらず
頭には❓が沢山飛び回っていた。
「この紙にこの筆で書けばよいのじゃな?」
「はい…」
「十分も在ればどうってことはなかろう。
それまで御主は気分転換でもしてくるのじゃ」
「…御言葉に甘えさせていただきます。」
総隊長の言われるがまま冬獅郎は外へと出て歩きだす
歩いている途中ふと桜の木々に目を配る。
突風に揺られて落ちていく花弁
その花弁が冬獅郎の元へと
ゆっくりとゆっくりと落ちていく。
「……桜」
冬獅郎はそっと手を伸ばし
落ちてきた桜の花弁を掌に乗せる。
その花弁をじっと見つめ
「…桜のようにこの想いすら
伝えられずに生命を絶えるのか、
それとも───」
先程まではいつものような
生意気そうな雰囲気を帯びさせていたものの(冬獅郎ごめん←)
桜を掌に乗せてそう呟く冬獅郎の姿は
今にも消えてしまいそうだった。
と、そこに………
「ひっつんー!!!」
「うあっ!?」
そんな儚い姿も束の間。
やちるが冬獅郎に突進して雰囲気を持っていく
突進された冬獅郎は勿論尻餅をついた。
「ッてぇ…てめえ…ッ」
「あ、ごめん…人数が集まったのが
あまりにも嬉しかったんだ〜♪」
「ハァ…ったく、もう集めたのか」
溜め息をつきながら起き上がり尻を祓う冬獅郎。
冬獅郎は普通にゴミを祓っていたつもりが
周りから見るとどうやらエロい祓い方に見えたらしく
「あらあら日番谷隊長。それは誘ってらっしゃるの?」
「なッ…!?誘ッ…!?」
誘ってらっしゃるの?の発言の主は
四番隊隊長の卯ノ花烈だった。
おほほほと口に手を当てて笑みを浮かべている。
「誘ってねえ!!」
卯ノ花に続き乱菊もニヤニヤしながらからかい始める
「え〜ほんとですか〜隊長〜?
私にもちょっと誘ってるように見えましたよ?」
「なッ……松本までッ…どこがだ!!」
「おほほほッ、若さですわね」
「若いっていいわよね〜色気ムンムンだもの」
「てめえが言うな💢」
やちるは傍観していて乱菊、烈と冬獅郎の三人は
夫婦喧嘩みたいに言い争っている。
暫くして冬獅郎が思い出したかのように、こう問いかける。
「そういや、誘ったのは一人か?」
その問いかけに対してやちるが答える。
「んーん、あと三人来るよ!プルルンと………」
「プルルン?誰だそれ」
「織姫の事よ。後七緒とネムも来る筈よ」
「へえ、結構誘ってんだな」
「まあ、私もやる時はやりますからね?
あ、そう言えばお酒買ってこないと〜」
「酒は駄目だ」
「え〜隊長のけち〜」
「駄目なものは駄目だ。お前の酒癖は悪いからな」
「む……はーい…」
乱菊はむすっと膨れそっぽを向く。
その様子に今まで傍観していたやちるが
「あー!ひっつん酷い!」
「はぁ!?」
「別に今日くらい良いじゃん!」
「今日くらいと言うもコイツは毎日酒宴してるが?」
「え………あ」
やちるは言葉を失う。
乱菊をフォローするつもりが
冬獅郎の言葉に黙りこんでしまう。
黙りこむも冬獅郎の顔を上目遣いをする。
暫くにらめっこしていたが冬獅郎が溜め息をつき
「………ハァ。今日だけ、だからな」
と背中を向けてそう発し何処かへと向かおうとする。
「やったあ♪って………あれ?ひっつんどこ行くの?」
「…少し部屋で休む。行くときは地獄蝶で知らせろ」
「仕方ないなー、わかったー」
冬獅郎は少し部屋で休むために自隊舎に戻る。
開けると紙だらけだった筈の部屋が
なにもなく綺麗になっていた。
そこで総隊長がのんびりとくつろいでいた。
「総隊長、部屋まで綺麗にして頂き有難御座います」
「よかろう、よかろう。」
「あの…紙は──」
「ああ、完璧じゃ」
「拝見してもいいですか?」
「あ…すまん…もう出してきてしもうたわい」
「なッ…!」
総隊長の文章を一目見させてもらおうとしていたが、
どうやら手遅れだったようだ。
「やべえ…ッ」
「どうしたんじゃ?」
冬獅郎は直ぐ様部屋から出て
瞬歩でとある場所へと急ぐ。
「日番谷冬獅郎…
御主も恋をしたのじゃな。その恋が実るといいのぉ。」
総隊長は純粋に応援するつもりが
少しお節介過ぎたようだ 汗
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