獄都の館にて

□獄都歌謡選手権
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「第8539回獄都歌謡選手権!!これより開催でーす!!」

待て。
既視感しかない。
というか今回が1回目じゃないのか。
「今回は女装じゃないよー」
佐疫はいつもの笑顔で言う。
でも殺意しか湧かない。顔のせいで。
「方法は至ってシンプル!この世のカラオケボックスで誰が一番上手く歌い切るかを勝負するよ!!」
「誰もやるとは言っていないぞ」
斬島が至極真っ当な突っ込みをするが、スルーして佐疫は続けた。
「優勝者は自分の食事代を払わせる人を自由に選べるよ!逆に最下位の人は俺が適当に選んだ曲を全力で歌ってね!90点越えなかったら殺す!」
笑顔で恐ろしいこと言いやがった。
優等生も仮面か佐疫。
というか平腹も木舌も何してるんだ。ノリノリじゃねぇか。
「下らんことをしてる暇があるなら鍛練でもしてろ」
いつもそれだよな谷裂は。
鍛練ばかりしていて飽きないのか。
…まぁ、歌うだけなら。
そう簡単に考え、今回は渋々ながらも乗ることにした。


とりあえず人間界のカラオケに行き、マイクの音響設定やらは調節した。
「誰から歌う?」
「こんなもの作ったぞ」
斬島は何処から出したのかアミダくじの紙を持っていた。
お前も結構楽しそうじゃねーか。まともだと思った俺が馬鹿だった。
「田噛ー、決めちゃうよー?」
「あぁ、じゃあ…端でいいか」
俺は6本ある線の一番右端を指差した。
佐疫は俺の名前を書くと、他の連中にも同じように聞いていった。

…どうなることやら…
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