Aspect-dependent couple
□元凶の時間
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放課後、私はカルマと喫茶店でケーキを食べていた。
たわいない話をしながらフォークを進めているとふとカルマが窓の外に視線を向けた。
「カルマ?」
「あれって俺らの学校の制服じゃね?」
「…本当だ」
カルマが指を指す方を見ると椚ヶ丘中学校の制服を来た二人の男子が裏路地で何かを蹴っている様子が見えた。
「何してるんだろ」
二人で様子を伺っていると一瞬二人の足元に蹲っている人の姿が見てた。
虐め、またはカツアゲだろう。
こういった場面を見たときのカルマの行動はもう分かりきっている。
案の定、残っていたケーキを口に放り込むとさっさと会計を済ます姿に私も最後の一口を頬張った。
先に裏路地へ向かったカルマを追っていくと既に1人は気を失ったのかうつ伏せに倒れていて、もう1人はカルマに顔を掴まれて完全に戦意を喪失している様だった。
「大丈夫、先輩?」
おそらく三年生だろう男子の顔を乱暴に離すと先程二人に蹴られていた男子の方へ歩いていく。
地面に落ちている物に気付き拾うと生徒手帳だった。
「ななみそれ何?」
「先輩の生徒手帳」
覗き込んできたカルマが生徒手帳をペラペラとめくった。
その一部に気になる部分。
その人のクラスを表すアルファベット……
「3-E…先輩E組?」
「あのE組?大変だね。そんな事で因縁つけられて」
思わず口に出してしまったアルファベット。
私たちの学校では差別の対象となるクラス。
生徒手帳を返すとお礼を言って先輩は裏路地から出て行った。
その後カルマは伸びている先輩達の財布から数枚抜き取ると半分を分けてくれた。
家に帰ると復習と予習をしてベッドに寝転がる。
カルマが暴力沙汰を起こすのは珍しい事ではない。
毎回担任から注意は受けるが罰を渡された事など一度もない。
なのに何故か不安が膨らむ。
明日なにもない事を願いながらベッドに横になると瞼を閉じた。