sword
□雪解け水
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「寒っ‼」
襖を開けてすぐ出た言葉はこれだった。そのままだ。寒い。寒すぎる。
私が震えながら隣にちらと目をやると、恋仲である鶴丸国永がにやにやと笑いながらこちらを見ていた。
「…鶴丸、寒くないの?」
少々睨みを効かせて言ってはみたが、私の何倍もの長い時間を生きている彼にとっては何ともないようで、微笑しながら私の頭を撫でる。
「鶴はこの季節の鳥だからな。俺としては慣れっこなのさ。カッカッカ!、君にこれを持って来て正解だった」
そう言って私に羽織を頭から被せると、部屋のすぐ前に位置する縁側に私と共に座った。
…こうして鶴丸と冬を越すのは二度目。審神者に任命された当時は彼とこんな関係になるなど思ってもみなかった。
「ねぇ、手」
もう一度撫でて欲しくて呟くと、鶴丸はまた私の髪に触れてくる。ほんのり体温が伝わってくるのが気持ちよく、彼の肩に頭を預け、そのまま眠りについてしまった。