書 庫
□家族の絆
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平日の朝、ほたるはいつものように自室で着替えをし、学校へ行く身支度を整えていた。
いつもならランドセルを持ち、すぐに皆がいるダイニングへと降りて行く処だが、その日は何故か一度学習机の前に座っていた。
そして、その引き出しから一枚のプリントを取り出し、目で文字を追ってみる。
「やっぱり無理だよね…。」
そう一言呟くと、ほたるは手にしたプリントを両手でクシャクシャと丸めてゴミ箱へと捨てたのだった。
ほたるがダイニングへ顔を出すと、みちるがちょうどテーブルに朝食のハムエッグとサラダを並べている処だった。
「おはよう、みちるママ。」
「おはよう、ほたる。」
「…あれ?せつなママはまだ寝てるの?」
「ええ。昨日は徹夜だったみたい。ゆっくり寝かせてあげましょう?」
「皆、忙しいんだね…」
「…そうね。今日からはるかも遠征だし。さぁ、二人で朝ご飯戴きましょう。」
「…うん。」
「…ほたる?どうしたの?さっきから何だかぼぅーとして。何処か具合悪いの?」
「えっ?」
ほたるがハッとしたと同時にほたるの額にはみちるの手が当てられていた。
「熱は…無いみたいね。大丈夫?」
「大丈夫、元気だよ。昨夜本を読み耽ってたからちょっと眠たいだけ…」
「まぁ。ほたるは本当に本が好きなのね。でも程々にしないと駄目よ?」
「うん、今日は早く寝るね。」
みちるはほたるの笑顔を見て安心し、にっこりと微笑んだ。
「それじゃあ、ほたる。ご飯を善そってくれるかしら?」
「はーい。」
「私はお味噌汁入れてくるわね?」