dream

□チョコレートは天使まで
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「はい、チョコレート。いちばんのりね」
「チョコレート?」
「あれ?今日バレンタインだよ?」
2月14日早朝。
オレは彼女からのチョコレートで初めてバレンタインを思いだした。


「お、今日の主役じゃんかー」
「おー、敵の登場かよー」
「今年は本命は受け取らないッスよ?義理だけッスから」
「あっちいなー」
「へへ、彼女から一番に貰ったッスからー」
教室でのろけていると、後ろからオレを呼ぶ声がした。
「あの...これ、好きです!」
隣のクラスのそこそこ可愛い女の子だった。
「あー...今年は本命はちょっと」
「そんなあ...」
女の子の目が潤む。あーあ、これだから女の子って面倒なんスよ...。
「待って」
その時、澄んだよくとおる声が響いた。
「ん?リラっち?」
豊かな肩より少し長い黒髪が揺れる。
「頑張ってせっかくチョコレート作って来てるんだよ?貰ってあげてよ」
「夢ノ瀬さん...」
えええーーー?なんで!?
「黄瀬くんを想って作ってくれたんだよ?」
「うう...天使...!貰ってください!」
「え?私?」
うおおい!
彼女の手にはチョコレートが残った。



「へー、リラモッテモテ。はい、友チョコ」
「ありがとー、ユキ。私も友チョコ」
「って 何でリラっちが沢山貰ってるんスか!?」
「あはは、なんでだろー」
彼女は天然タラシだ。
天使なのは認めるッスけど!



「そーいや...リラっちの本命チョコはどんなのなんだろ」
綺麗にラッピングされたチョコレートを開く。
「!!」
思わず赤くなった頬を抑え、彼女を見る。
嗚呼、やっぱりオレの彼女は天使だ。
「リラっちーーー!愛してるッスよ!」
Happy Valentine's day!

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