dream

□Surely I yearned only for you for some time all the time though I did not notice
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「告白をもう一度やり直すなら?」
「うん。そういうインタビューでさー」
「はあ。」
「リョータなんか、告白山程聞いてきてんだろー?どうなんだよ」
「いやー、いつも興味ないッスから...」
「うわ、モテ男は違うな」
「あはは...」
曖昧にモデル仲間に笑い返し、オレは彼女を思い浮かべた。



「告白?」
「そお、告白」
彼女はしばらく考える。
「最初はお断りしたねえ」
「うわー、言わないでリラっち」
彼女はクスッと笑う。
「さすが人気モデル。女の子にフラれたのなんか初めてだったでしょ」
「うん」
「で、どうでしたか」
「...オレさいてーだったと思ったッス」
「そうね。最初は、ちょっと...」
「本当だけど傷つくッスー!」
更に笑いながら彼女は首を傾ける。
「最後の告白はね、よく覚えてるよ」
「あー、オレが試合で50点とったから、ご褒美でデートして、って無理矢理デートしたんだっけ」
「そうそう。水族館行って、ショーで私庇ってびしょ濡れになっちゃって。あれはきゅんときた」
「なるほど、リラっちのきゅんポイントはあそこッスか」
「うん、そう」
「で、ショッピングして、お茶して...」
「別れる前に、やっぱりリラっちが好きッス。オレと付き合って下さい、って」
「あー、そうだったッス...」
「そのあと、私が雑貨屋でじっと見てたペンダントプレゼントしてくれたよね」
「だってリラっち、ずっと見てるんだもん。可愛い」
「そうだったっけ。...もう一度やり直すなら、黄瀬くんはどんな告白にしたい?」
「ああー、もう色々思い浮かぶッス!とりあえずもっとスマートにかっこよく!」
オレが騒ぐと、彼女は微笑んだ。
「私は、やり直してほしくはないかなあ」
「え?」
黒い瞳が細くなる。
「私はね、あの日急に黄瀬くんを好きになったわけじゃないよ。
ちょっとずつ惹かれていったの。」
「ちょっとずつ?」
「放課後誰よりも遅くまで練習したり、優しかったり、嘘がつけない誠実なところとか。
だから、黄瀬くんの何も飾らない精一杯って感じのあの告白に、黄瀬くんの優しさとか真面目さとか沢山ぎゅっと詰まってる気がして。
すごく好きだ、って思ったんだ」
彼女はふんわり微笑んで、手を胸にあてる。
「あんなに人を好きだと思えたの、初めてだった。とても幸せだと思ったよ」
「リラっち...へへ、大好きッス!」
「私もっ」
2人で幸せをわかちあことは、なんて心地良いんだろうね、リラっち。




「ずっと前から見てたよ。
あの日から、頑張る背中に私も元気を貰ってたよ」
「え、何?」
「んーん。何でもない!帰ろうか」
「うん!」
あの日と同じ背中は、すぐそばにある。



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