神室町運命物語

□一人の少年
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ザワザワ...。

この街は常に騒がしい。

様々な年齢、性別、職業、人種が行き交うこの東洋最大級の繁華街の名は通称“眠らぬ街”神室町。

今日も学生やサラリーマン、ホスト、キャバ嬢と様々な人間が街を行き交う。

その街に、一人の少年がいた。

少年の名前は大塚龍斗。

オーバーサイズのグレーのジップアップパーカーのフードを被り、フードの中にはツバが軽く曲げられた黒いベースボールキャップ、ルーズに履きこなされたバギージーンズ、それにハイカットのスニーカーという、“いかにも”なファッションだ。

そんな彼はこの街の神室西高の高校一年生。16歳で、進級を目の前に控えていた。

彼はこの街で生まれ、そこまで良くない家庭環境の中で育ち、街の仲間と同じように不良になっていった。

16歳にして既にタバコの扱いに長けており、街の歩き方も小慣れている。

そんな彼は今、神室町の中道通りにいた。
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