story

□ヒカルの過去
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俺の母さんはとても優しくて人に好かれる人だった。

それに比べて父(アイツ)は、毎日のように酒を飲んでは母さんに暴力を振るった

俺は毎日それを見ていた、何回も助けようとしたけど

その度に母さんは 大丈夫だから と俺を止めた



『お母さん...』

「ヒカルは、心配しなくていいのよ...お母さんがなんとかするから。ね?」

『で、でも...!』

「ありがとう、ヒカル...貴方は本当にいい子ね。さぁ、もう寝なさい?」

『ッ...うん...おやすみなさい...』

「おやすみ、ヒカル」



そういって俺のおでこにキスをした。



自分の部屋に行き、冷たい布団に体を潜らせると

遠くからアイツの怒鳴り声と母の悲鳴が聞こえてくる



俺は毎日アイツを呪った

『(死ね...死んじゃえ...アイツなんかアラガミに食べられちゃえばいいんだ...!!)』






そんな日々が続いて俺が7歳の時、妹のカオリが生まれた

俺は毎日カオリのお世話をした、可愛くて、カオリと遊んでいる時は

嫌なことをすべて忘れられた。



ある日の事

その夜は、いつも通り隣の部屋から母とアイツの声が聞こえてきた

俺はそれをいつも通り気づかないふりをし、カオリを寝かしつけていると

カオリがいきなり立ち上がり隣の部屋に走り出した



『!? カオリ!!!』



「カオリ!こっちに来たらダメって...」

「やめてよ!ままがいやがってるじゃん!!」

「あぁ?生意気言いやがってこのっ!!!」



そういって父はナイフをカオリに振りかざす

瞬間に俺は母と妹の前に立ちはだかる



同時に俺の左腕から血が流れ、激痛が走った


『ッ...!!!』
「!!!」



驚きでナイフを落とした瞬間を見計らって俺はそのナイフをゆっくりと拾い上げ

両手でナイフを持ち、ソイツの顔面に突き出す



『っ...出てけ...殺すぞ』

「んだよっ...!!」



そう吐き捨てテーブルを蹴り、アイツは外へと消えた



「ヒカル!!今すぐ手当してあげるからね...!!」



慌てて母さんは救急箱を取に行く



「お兄ちゃん...」

『大丈夫だよ、カオリ...カオリも偉かったね』



泣きながら心配そうな顔で俺の顔を覗き込むカオリの頭を撫でる

母は無言で俺の手当を終わらすと、カオリと俺を一緒に抱きしめた



「もうっ...アンタたちはっ...!!」

「うっ〜〜〜、まま〜〜〜!!」

『っ...うっ...』

「無茶してッ...でも、ありがとうね。二人とも」



その日は初めて母さんのぬくもりを感じながら眠った日だった。



アイツがアラガミに喰われて亡くなったと報告があったのはその次の日だった



死体が焼かれる中、母は涙を流し、妹はその母の顔を見て複雑な表情をしていた

俺は一人、外で雨に濡れながら真っ暗な空を見上げた





『当然の結果だよね?カミサマ...』





これからは三人で楽しい日々を過ごそう、俺が二人を守るんだ

そう思っていたが、カミサマはどうやら俺を嫌っているようで_______







 「アラガミだ!!!アラガミが来たぞ!!!」



外から叫び声が聞こえる



(母さんは台所にいるし...カオリは...!!)



俺は近くの公園へと走り出した

後ろから聞こえてくる母の声を気にも留めず



一心不乱に走り公園に着くと、そこにはアラガミがいた



『はっ...はぁ...ッ...カオ、リ...?』



アラガミの口にぶら下がっていたのはカオリがいつも大事に下げていたバッグだった



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「これね!ままがつくってくれたの!」

『そっか、よかったな。大事にするんだよ?』

「うん!」



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前に交わした会話が脳裏を過った





『あ...ぅあ....っ...あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!』





----おい!あそこに子供がいるぞ!

----は!?クソッ!ヴァジュラ先に殺んぞ!!!

----防衛班!!!



誰かの声が聞こえてくる

ぽつぽつと冷たい水滴が体を濡らす



---あぁ____また雨か____________________________



そこで俺の意識は途切れた



そして数日後、病室のベッドに寝ていた俺は意識が戻り

徐々に妹がもう居ないという事実を実感する

無意識に大量の涙が頬を伝う



隣に居た母さんも俺を見て泣きだした



『母さん...俺...』

「うっ...」



俺は決めた。



『母さん、俺、ゴッドイーターになる...母さんを守るから...』





もうこんな思いはしたくないし、させたくない...

少しでも、こんな思いをする人が減るように...






一年後、俺にフェンリル極東支部から適合試験の手紙が届いた



(やっと来たか...これで俺も...)







『カオリ...見ててくれ...俺がちゃんと母さん守るからな』





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ある日の帰投準備中

コウタとの会話


「あれ、雨降ってきた」

『...そうだね』

「どうした?」

『ううん、なんでもないけどさ...雨は嫌いなんだよね』

「え?なんで?」

『あ、ヘリ来た!よーし帰ろう〜』

「ちょっ ヒカルー!教えろよー!」



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