死中求活

□雫を集めて三千里
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「さーて、この橋の向こうはもう影の領域。行ったらもう戻ってこれないかもしれないぜ?それでも行くか?」

フィローネの森とやらに続く橋。前に私が柿田君と歩いていた森に行くため橋の前まで来たが、相変わらず影の領域との間には真っ黒な壁があり、向こう側は見えない。
ここを通るには影の者の力が必要らしい。前に私リンクさんを助けにハイラル城に行ったとき普通に通っちゃったけど…よかったのかな…

ミドナさんの言葉に狼先パイは頷くとそれを見たミドナさんは黒い壁にスーッと入っていくと……

「…………!うわぁっ!!」

なにも起こらない。と言おうとした瞬間、私一人簡単に包めるほどの大きなオレンジ色の手のみが出てきた

「ガウッ!」

「わぁっ!狼先パイ!」

オレンジの手は狼先パイを鷲掴みにすると壁の向こうに一緒に連れていってしまった
どうやらオレンジの手はミドナさんの頭にあった布のような変幻自在のものだったようだ

「だ、大丈夫ですか〜?」

しかし出てき方も急だったし連れていき方も強引でさすがの狼先パイも声をあげていたのを心配して届くのかわからないけど叫んでみた

「オマエは自力で通れるんだろ?それならとっとと一人で来いよ」

狼先パイからの返事はないが、代わりにミドナさんの声がした
さっきの戻ってこれないという言葉に若干びびっていたが、小バカにしたように言ってくるミドナさんに、私がここを前に一人で通ってきたということを信じられていないのだろうかと勘繰り、たまにはミドナさんを驚かせてあげようと背中を押され、黒い壁に手を伸ばし、次に足を踏み入れる

「……っと……お?だ、いじょーぶ!」

ゆっくり壁を通りとうとう壁の向こう側が見えたときに後ろを振り返り全身が通れたことを確認する

「おー、ホントに通れるんだな。」

影の姿ではなくなったミドナさんが狼先パイの上に乗って両手を組み感心した様子で頷いていた

「平気でーす」

なんだかちょっと誇らしい気持ちになり胸を張っているとそっちのけで狼先パイと話を始めた

「さて、これでワタシはオマエに協力してやってる訳だ。
 つまり、オマエもワタシの言うことを聞かなくちゃいけないよな?ワタシはあるものが欲しいんだ。それが何かは、後で教えるさ。」

私にはあまり聞かせる気はないようで狼先パイの耳に顔を寄せて何か言っている
二人の関係にそんな深く関わるつもりはないし、聞いたところでどうせよくわからないだろうしただ見ているだけにしたが、言われていることがあまりによくないのか、狼先パイは背に乗っているミドナさんを睨み付けるような目つきをし、食いしばった牙が見えている
やべぇ超こええ

「ほら、影の領域はこうしてる間にも広がってるぜ、分かったら、早く進めー!」

「わっ、あ、待ってー!」

急にミドナさんが暗い森のさきを目指してそう言い、狼先パイが走り出した

なんなのかよくわからないけど、とにかく私はこの先、何が待ち構えてるのかも知らず、リンクさんを助けられるかも知らず、とにかく前を駆けて行く者の後を追いかけた
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