死中求活
□恋宣言
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「……はっ!!う、うわ、何ここ……うっ!冷たっ!」
「ガウッ」
「うわっ!お、狼先パイ……」
ふと気付くとさっきまで居たハイラルとは違う、日も沈んで暗いが、やけに緑々しい景色が目に入り、同時に足元に違和感を覚え、一瞬で冷たさを意識した
何事かと見ると水の中に足を入れている。
慌てて退くと、隣にはさっきと少しも様子の変わらない狼先パイが居た。ここにはミドナさんだけが居ないようだ
「ここ……泉ですね。トアル村の」
キョロキョロと周りを見て覚えのある所だと少し安心していると狼先パイはサクサクと泉から出て村の方へと歩いて行く
「ねぇ、結局これからどうすんの?」
何となく狼先パイを追いかけると姿も見えないのにミドナさんの声がした
すると狼先パイの影がぐにゃりと歪むとひとりでに動き、ミドナさんが現れた
何でもできる人なんだなぁ みつを
「クククッ居なくなったと思った?」
「わぁ、すごーい」
狼先パイは特に驚く事もなくミドナさんを見て、私はもはや驚く事しか無い為慣れてきたと、拍手をする 88
「フンッ……。そうそう、他の奴らを助けに行こうたってムダだぜ。橋の向こうは影の領域。向こうに行くには影の者の力が必要なんだ。オマエ一人じゃ行けないし、結局はワタシの協力が必要なんだ。オマエが元に戻るのも同様……意味、分かるよな?」
狼先パイは相槌を打つ事も何か言うことももちろんできない。私が喋らなければミドナさんは一人で淡々と話した
最後に、
ワタシに見合う剣と盾が欲しいんだ。
と、次の行動を示すような事を言い、再び狼先パイの影に入っていった
剣と盾って、ミドナさんが使うのかな……
狼先パイの影を追ってトアル村に行こうとするが、剣と盾でも取りに行くんだろうか?でも中身優しくとも見た目狼。最初の私のように村の人達もきっとびっくりして大変なことになるのではなかろうか?
まぁ、だからと言ってそんなことで止めるってことはしないけど……(怖いから)
リンクさんの家の前に来たとき、やけに動くものがいっぱい居るのが見える
街灯があるわけでもないし、私も灯りを持っているってこともないので何かが居ることは分かってもよく分からない。
「あっ?」
ゴブリン(レベル4)!ゴブリン(レベル4)じゃあないか!久しぶり!
目を細めて見ると何と懐かしいゴブリン(レベル4)
何かやたらとあちこちに居る
繁殖期なんだろうか
しかし居る場所があまりよくない
村に続く道に何匹も居て、そのまま道を行けばもちろん村長さん達の住む場所まで着いてしまう。
それを見てか先パイはゴブリン(レベル4)達に走っていき、一気に追い払った
魔物もおびえる狼先パイってやっぱり凄いんだな
「ちょっ、あの……本当に行くんですか?」
魔物を追い払うとそのまま道を進んで行ってしまう狼先パイに言った
冷静に考えればあの村に狼先パイが入っていけば、最初の私のように皆驚くに決まってる
いや、驚くに止まればまだしも
あの村にはモイさんのような剣士がいる。そうとなると村の皆を守ろうときっと狼先パイを……
しかも、きっと襲ってくるとなったらさすがの狼先パイでも反撃せざるを得ないだろうし、そもそも、襲ってこないにしても、こちらが先に襲うというのもあり得るよな。狼先パイからすれば生きてても死んでても関係ないただの他人だし
え、これ、結構まずいのでは?
村の人達に傷ついては欲しくない
けども狼先パイだってここに来るまでに何度も助けてもらった恩者でもあるし
「あの、狼先パイ、剣と盾……だけですよね?必要なのって。そしたら私が取ってきます!」
どんどん先に行ってしまう狼先パイに言うとこっちに振り向き、足を止めた
「あの、私、この村の人達の知り合いで……だからお願いすれば借りるくらいはできるかもしれないんで!」
狼先パイの反応を見る前にサッと回り込み村への道を駆け足で進んだ
「……」