軽薄短小

□お腰につけた
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「桃太郎は知ってます?」

「え?」







唐突ながら、現在のメンバーを数えてみよう



まず我らが主人公としてなにひとつと欠陥が見当たる節のない完全無欠のイケメン代表、みんな大好きリンクさんね



そして



この物語数多いヒロインツンデレ枠可愛さともに美人さも持ち合わせた二物を神は与えられたというかむしろこれこそ女神と言えよう方
嫌いな人は居ないよねミドナさん


あと私


「……少なくないです?」

「何が?」

「人数の話です。
だって知らない人は居ない童謡桃太郎ですら共に行動する人数は四人です。それに対して私たちは役立たずを含んでも三人!少ないと思いません?」


光の領域ということもあって影の姿となっているミドナさんが珍しく私の話を聞いてくれて聞き返してくれた

私も今回の議題を分かりやすく説明をしてもう一度説いてみると
今度はリンクさんが私に聞いてくる


「確かにそうかもしれないね。
でも城下町に居る女の子達はいつも三人で居るよ」

「あれらは共に行動する仲間ではなく共に行動するライバルです。
確実にあの三人の中で取り合いが行われますよ」

「え?なんの?」

(これだからイケメンは……)
「これだからイケメンは!あの人達の中に一日居てみなさいって
血を血で洗う戦争が始まります」


思っていることをそのままに投げやりに言うとやっぱり分からないといった表情で首を傾ける

そんなのはと置いといて
あの桃太郎でさえ四人パーティなのに
と、もう一度言う


「仲間が欲しいの?」


と、リンクさんが結論付けた


「そうです!やっぱり旅の仲間は偶数こそ正義ですよ。四天王ってのも四人だからこそその名がついたわけでして、ディズニーだって偶数なら何の隔てもなく楽しめるのは確かなことで人間偶数が一番しっくりくるんです」


戦隊ものは知りません


「ふーん…まあ偶数奇数はどうでもいいにせよ、どのみちオマエが何の役にも立ってないのは事実だし、他に役に立つ仲間ってのは必要かもな」

「まあそういう理由ひっくるめて他に仲間が必要なのは否めない!だから、仲間にする人を考えましょう」


珍しく私と意見があって頷くミドナさん
そして私はそれに伴い案を出すように促す

するとリンクさんはこれまた馬鹿正直に(失礼)こんな題に付き合ってうーんと考え始める


「まあ、かと言ってもこんな急に言われて上手いものが考え付くとは思ってません。
ですので、葉を考える前に根からと言うことで前提を考えといたんです」

「オマエ暇なのか」

「まず第一ですよ。
リンクさんは見た目も王子中身はヒーローとしてこれ以上ない完璧主人公です」

「なんか恥ずかしいな」

「ミドナさんはその横に立っても全く恥ずかしくない最高のヒロインです」

「コイツの横かよ。名誉がないなあ」

「私はまあ……誰も真似できないほどの唯一無二の足引っ張り役のモブ。
これほどの個性があってして更にここにひとり追加するんです。そうすると被りのない、かつ個性がある人を考えなければなりません」

「何か段々めんどくさくなってきたな」


私の話がだるくなってきたと言わんばかりの体勢になるミドナさんに私の熱弁は止められない


「そうか、じゃあ個性が必要なんだね…そしたら…………………

ラッコは?」

「は?」


リンクさんが顎に当ててた手を思い付いた!と笑顔で人差し指を立てて発案した


「いや待てよ、ラッコ味方にしてどうすんだ。どうやって意思疎通する気だ。そもそもこの旅で避けられない戦いにアイツどうやって対処するんだよ」


ミドナさんがリンクさんの案にありえないと表情言動全てで否定している
そして私は


「いいですね!」

「おい!」

「ぴったりだよね」

「何にだよ!」

「だってこれ!見てください
この見た目だけで誰しもを魅了するこの愛らしさ」


せっかくリンクさんが考えてくれたものだから採用しようと面接官ミドナさんに認められたく
ズルっと鞄からラッコを出して口から生まれてきた異名を持ってしてプレゼンを始める


「どっから出した!?」

「ラッコならまず私達人間とはもちろんキャラ被り無しとして、皆の心をダイレクトに鷲掴みにする可愛さがあるにしてもミドナさんとはまた違った何て言うか、愛くるしさみたいなのが備わっていてミドナさんとの被りも無い!
その上にこの旅に必須な戦いにおいては貝を石で叩くような攻撃戦法だとするとそれをやるたびに女子からの、かわいい〜!の声がいただけるんですよ!頑張って石で、貝で、敵を叩いてるのに全然ダメージがない!けど健気に頑張ってるその姿に」

「長いんだよ!それに全く役に立ってないだろ!却下だ!」


私の止まらない熱弁にいよいよミドナさんが被せて否定した
駄目の様子


「でもじゃあどうするんです。犬の役割が居ませんよ」

「いや誰がサルで誰がキジなんだよ……そもそもいらないだろ」

「そうか………じゃあアザラシは?」

「なんで基本海寄りなんだよ………
だめだろ!そもそも陸移動すらままならないのにどうやって行動するんだ」

「確かに、移動の手間がかかるのはまずいかもしれませんね……」


ミドナさんの意見も一理ある
そう頷いて考え直す

リンクさんが挙げるものには、やはり視覚から入る印象が強いものがいいっぽい

けどミドナさんの意見は見た目だけでなく実用的というかちゃんと役に立つものが良いと言うし「ワタシは案を出してる訳じゃ無いぞ!」そうなれば見た目のインパクトと旅に必須となる実用性があるもの……




……………




「あっ……思い付いた!」



「何だよ……もう終わらせてほしいんだけど」


リンクさんも考えてくれてる横で一緒に頭を悩ませて上を見上げた時に青い空を写した時、パッ!と思い付いてしまった
これしかない!



「これです!スカイフィッシュ!」

「いやおい!どっから出した!?実在してねーよ!」

「でも見てくださいこのフォルム!私達とは視覚的に被りは全く無いし、驚くべき移動速度なんとおよそ時速280q!これならトアル村からカカリコ村、なんなら城下町でさえ秒で着きますよ!」

「UMAをタクシーにすんじゃねえ!」

「いいな!」

「よくない!!」

「あっ!ラッコがスカイフィッシュをワカメのごとく掛け布団代わりにして飛んでいってしまいました!」

「おおい!何してんだ!めちゃくちゃだろ!もうやめろ!!」

「駄目ですよ!思い付きで書き始めたとは言えここまで字数稼いだのに消すなんて悲しい!短編に置いてそんな作品がごろごろあるんですよ!世に出れない短編をこれ以上増やさない為にも黒歴史になろうがいいんで、追いかけましょう!」

「でもあれ人間の足じゃ追い付かないよ。エポナを呼ぼう!」



「…………あっ、」











四人目居た
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