死中求活

□ほんとのほんとは
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「異世界……ねえ。本当に精霊が言ったのか?」

「そうそう!この先の泉の精霊が言ったんです。別に私がひとりでのたまってる訳じゃないですからね!
 信じられないような話ですけど、こっちはコンクリートジャングル日本生まれなんですよ!」





私が話始めた時、ミドナさんは

「はあ?」

と私のお脳の無事を疑ったが、それはもちろん予想していた反応だ
それに全く怯むことなく(若干泣いた)話を精霊に言われたことまで持っていき、どうにか長いながーい話を終えることができた


「ふーん……ま、そうだな……ワタシがいくつか持ってる疑問も、それなら納得がいくが……そんな話よく他人にしようと思ったよな。ワタシならしないね」

「だ、だってミドナさんが聞いたんじゃ……それを言えばミドナさんだってこの領域じゃありえないような存在らしいじゃないですか。それなら、私とそう変わんないってことで、お仲間ですよ」


まあ、それもそうかな。と言ってひと段落つけたミドナさんは頭の後ろで手を組み、チラリと狼先パイを見た


「…………?」


私も釣られて狼先パイを見ると、一体何がどうしたのか
いつもの鋭い目付きを忘れたかのような顔で私を見ていた


「……ど、どうしました?なにこの空気。え?気まず…」


あまりの目付きに動揺し、目線が落ち着かず喋らないミドナさん達を交互に見ると、息をひとつ吐かれてニヤリと悪い笑みを浮かべた


「ま、とりあえずはいーや。なんとなーく内容は理解したし。
どちみちオマエは帰る場所がないなら、このままワタシの下僕になってた方が死ぬのは後まわしになるな」

「……いじわるな言い方するなあ……」


何だかんだ説明してる時、信じてもらえないんじゃないかとか、まじで何言ってるんだこいつ的な感想もらうんじゃないかとか、最悪殺されるとか色々考えていたせいでドキドキしていた

本心は分からないにしろ、まだ着いていってよさそうな言葉をもらい、安心して無意識に息を大きく吐いた


「それに、今はそんなんでゴチャゴチャしてる場合じゃないしな。ほら、行くぞー」


そんな私を置いてミドナさんは泉のある道を進み、立ち止まる私達を促した

「あ、はい」

この世界も私と同じくらい危惧状態に追い込まれていることを思い出し、一刻もと歩き出したが
狼先パイだけが取り残されている


「……?」


どうしたのかと声をかけようとしたが、何だか考えているような表情に水を差していいものか悩む
先に行ってしまうミドナさんの後ろ姿に天秤をぐらつかせる


「……狼先パーイ?」


と呼ぶと、彼は耳をピクッと動かし、歩き出す

月明かりに照らされた耳の青いピアスが目立つ
隣を歩きながら、つい最近もそれを見た気がするなー
と記憶を遡るとリンクさんの顔がよぎった

そういえば、リンクさんも青いピアスをつけてたっけ
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