FAIRY TAIL

□*016*
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「依頼ってなんなんだっけ?」

「森で暴れているモンスターの討伐だそうだ」

「なんでわざわざこのメンバーなんだよ………」

「それだけ信頼されているということだ」


一行は森でモンスターを探していた


「〈ねぇ、やっぱり私休んでちゃダメかしら〉と、申しております」

「自分の足で歩きなよ、ルーシィ」

「〈だって怖いし疲れるんだもん〉と、申しております」

「歩けない猿はただの猿だよ」


それを言うなら、飛ばない豚はただのブタじゃないの?と密かに心の中で思ったアサコだった



「おっ、なんか足音聞こえねぇか!?」

「あい、聞こえないよナツ」

「お前みてぇに耳がいいわけじゃねぇんだよ」


─ズシィン… ─ズシィン…


「お時間です」ポシュン

「ち、ちょっと!いい時に消えないでよ!延長よ延長!!」

「来るぞ!みんな、準備をしろ!
換装、天輪の鎧!」

「やっぱこうなるのォ!?
開け、処女宮の扉。バルゴ!」
「お呼びでしょうか、姫」

『東の魔法、倭建命!』


そして、モンスターが向かってきた


「天輪・繚乱の剣(ブルーメンブラッド)!」

「行くわよ、バルゴ!星の大河!」

「右手の炎と左手の炎をあわせて…
火竜の煌炎!!」

「アイスメイク大槌兵(ハンマー)!」

『はあああぁぁ!!』


五人の見事な戦いぶりで、無事に依頼は達成した


「よし、帰ってマスターに報告だ」

「よっしゃぁ!帰るぞ、ハッピー!」

「アイサー!」

「アサコも一緒に帰るのよ?」

『………はい』


そのまま、列車に揺られて帰った


「ただいまー!」

「ただー!」

「元気ね、あんたたち……」

『あはは……
ねぇ、私ちょっと用事があるから手、離して?』

ルーシィに掴まれていた手を離してもらおうと言った

「用事って?依頼じゃなくて?」

『うん。ちょっと野暮用でね』

「わかった。気をつけて行ってきてね?」

『うん。いってきます!』


私はギルドの外に出て、陰に隠れて白虎を召喚した

そのまま白虎に乗せてもらい、ある場所に行った



──おばあちゃんの家の前


『はぁっ…はぁ……はぁっ』

「大丈夫?僕のお姫様。お手をお貸ししましょうか?」

急に話しかけられて振り向くと、そこにはロキがいた

私はすぐに体制を立て直した


『どうしたの?ロキ。こんなところで』

「君を追いかけて来たんだよ。なんだか様子がおかしかったからね」

『私は大丈夫だよ?
それより、勝手に出てきてルーシィに怒られないの?』

「問題ないよ。自分の魔力で来てるからね」


そう言うが早いか、ロキは私をお姫様だっこしておばあちゃんの家に入っていった


「ポーリュシカさんは居る?」

「あたしゃいるよ。勝手に入ってきてるんじゃない……その子を見せな」

おばあちゃんは私を椅子に座らせた


『あ、おばあちゃんお邪魔してます』

「あんた、また無茶をしたね」

『あはは……;』

「少しは自分の身体も大切にしな!!」

『ビクッ……………はい』

「はあ……ったく、見せな」


─────


アサコは体を隠すために着ていた真っ黒な大きいマントを脱いだ

そこには、そこらじゅうが真っ赤に染まった服があった


「服をまくりな」

「……僕は外にいるよ」

『ううん、いいの。ロキには連れてきてもらった恩があるし、誰にも言わないならそれで……』

「わかった。ここにいさせてもらうね」


それは、僕なりに考えた末の結論だった

なんとなく、アサコを放っておくのはダメだと思ったから



彼女が服をまくると、そこにはまだ出血している、痛々しく深い傷がいくつもあった



「はぁ。またやらかしたのかい」

『うん……ごめんね。おばあちゃんのお世話になることはわかってたんだけど……』

「あたしは別にいいさ。だが、あんたの身がいつまでもつか……」

『私は大丈夫』


僕はとても心が痛んだ

“私は大丈夫”そう言ったときの彼女の顔がすごく辛そうでこっちまで泣きたくなった


「アサコ、それはどうしたの?」


きっと彼女はあの傷で帰ってきたのだろう
真っ黒な大きいマントを羽織っていたのも、傷や出血を隠すため

出血量が多かったため、わざわざ四神の力を借りたのだろう


『…………誰にも言わない?』

「ああ。もちろんさ」

『絶対だよ?』

「ああ」

僕の返答に安心したのか、彼女は話しだした




『私は列車に乗ってすぐ、窓から出て一足先に目的地まで行こうと思ったの

グレイが嫌がるから

そしたら途中で闇ギルドに足止めを喰らっちゃってこんなことに……』


ルーシィたちが話していた、空から何かが降ってきたというのはアサコのことだろう



「それだけじゃないだろう。その傷を見る限り、さしずめ、わざと攻撃をくらったんだろ?
あんたならそれくらいの攻撃、防げたはずだ」

僕はその言葉を聞いて驚いた


「本当かい?アサコ」

『………うん。私がよけたら列車を爆破するって』

「そんな……」

『っ、お願いだから!……ルーシィたちには言わないで』

小さく消えていくような弱々しい声に、僕は頷くことしか出来なかった


「そういう時は、僕が助けに行くよ」

『大丈夫だよ』

「僕のほうこそ大丈夫だ。なんたって、僕ら星霊は死なないからね」

そう言った時、彼女の瞳が揺れた


彼女はガバッと立ち上がった

『っ、そんなこと言わないで!
あなたたちが傷ついたら、みんな悲しむ……』

「それはアサコもだよ
いいから僕を頼って、ね?」

『……うん』








僕はアサコをできる限り護ろうと誓った


もちろん、オーナーであるルーシィに負担や迷惑をかけないことが条件だけれど………



その二日後、アサコに会おうと思いギルドに顔を出した


「あれ?ルーシィ、アサコ知らないかい?」

「アサコ?知らないわよ?
てか、誰よそれ。また新しい子を捕まえたんじゃないでしょうね!?」


僕はすぐに異変を感じた


「ナツ!アサコを知らないかい!?」

「アサコ?なんだそれ、うめぇのか?」

「どう考えても人の名前だと思うよ、ナツ」


「グレイさまぁ。ジュビア待ってましたよ〜」

「おう、ジュビアじゃねぇか
俺もお前に会いたかったぜ」

「キャッ、ジュビア嬉しいです!」





妖精の尻尾から、アサコは消えてしまった


To be continue……

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