FAIRY TAIL

□*015*
1ページ/1ページ



あの事件から2日後、グレイとジュビアはギルドに顔を出した

私は、なるべくグレイを刺激しないように2階に上がろうとした


「おいお前」


グレイがまた誰かに喧嘩を売っている


「お前だよ、アサコ・フローレイ!」

そのいつもとは違う言葉にギルドは騒然とした


『……………なに』

私はなるべく冷たい言い方で返した

「お前、ジュビアに手を出したらただじゃおかねぇからな」

「グレイさま…!ジュビア感激!」

『わかってる』


私は、痛む胸を無視して返事をした


『マスター。これ、いってきます』

「………いいぞ」

「おい、アサコ!
勝手にS級には行かせねぇぞ!」

「あい!」

ナツとハッピーが私を止める


『え〜、なんで?』

「ん〜。なんとなく危ねぇから」

「いや、アサコはS級魔導士よ?」

『そうそう。ルーシィの言う通り』

するとナツは、うーんと唸った


「そーじゃなくて……なんつーか、なぁ」

「あい、わかんないよナツ」

ハッピーに同意を求めるも、呆気なくわからないと言われるナツ


「いいじゃねぇか、そんな奴ギルドにいなくても」

「グレイ?」

「それともなんだ?お前はアイツの味方だってか?」


グレイがナツに込める言葉には、敵対心があった

きっと、私に味方してくれる人はグレイとギスギスしちゃう……


結局私は、人に不幸しか運ばないのか……



「お。ナツ、ルーシィ、グレイ、エルザ、それにアサコも
お前たち五人で依頼が来ておる」

「お、どんなやつだ!?」

「なんでも、金持ちの護衛だそうだ」

「ほう」

「ちっ」

「家賃!!」


私はグレイが舌打ちしたのが聞こえてしまった


『マスター。私の代わりにジュビアを入れてください』

「いや、それは無理じゃ。なにしろお前たちは名指しで依頼されておるからのぉ」


結局、私はグレイたちと仕事に行くことになった




翌朝の駅──




私は一番乗りで着いた


『はぁ……嫌なことになっちゃったなぁ』

「アサコー!」


呼ばれて振り返ると、ナツとルーシィとハッピーがいた


「お前、早ぇな!」

「あい。アサコはそういうのきちんとしてるからね」


私たちが暫く喋っていると、大きな荷物を持ったエルザと、グレイがやってきた


グレイ、凄く機嫌悪そう……


「よし、列車に乗るぞ」

エルザの声で、みんなは列車に乗り込んだ


いつもはナツと仲良しごっこしてるのに、それ以上に私が居るのが嫌なんだろうなぁ



揺れる列車の中、グレイはずっと機嫌が悪いままだ

乗り物酔いしていたナツは、エルザに気絶させられていた



『……私、列車から降りて行くね』

「何言ってんだ?アサコ」


何故かナツが目を覚まし、問いかけた


『いろいろ…ね。じゃあ、先にあっちの駅で待ってるね
東の魔法、志那都比古(シナツヒコ)』


私は、列車の窓から飛び降りた


「「「「アサコ!」」」」


グレイ以外のみんなの声が聞こえたが
私はそのまま飛んでいった



────



「おいグレイ。お前、アサコと喧嘩でもしたのか?」

ナツに話しかけられ、ようやく視線を窓からはずした


「あ?んなの最初っからだろ。
アイツがジュビアに嫌がらせしてっからだ」

何言ってんだとでもいいたそうな顔をして、グレイは言った


「は…?アサコが、嫌がらせ?」


ありえないと呟くルーシィ


「アサコが誰よりも仲間想いで優しいのはお前が一番知ってるんじゃないか?」

「そうだよ。オイラ、アサコが嫌がらせしてるなんて見たことも聞いたこともないよ」


「は?
ハッピーにエルザさんよぉ、頭おかしくなっちまったのか?
アイツはジュビアの嫌がることばかりしてただろ」


その一言で、四人(三人と一匹)はグレイがおかしいことに気がついた


「こういうのって、ほっとかなきゃ治らないわよね?」

「それが一番だろう」

「やっぱ、頭殴ったら治るんじゃねぇ?」

「ナツぅ。流石にそれは無理があるよ」


結果、放っておくという結論に達した


エルザ曰く

「ポーリュシカさんも気づいていらっしゃるだろう
その上でのこの状態だ。私たちには何もできない」

ということだった



「ていうかナツ。乗り物大丈夫なんだね」

「は?………ウプ」


ハッピーの言葉に、忘れていた酔いが戻ってきた


と、その時


ヒュンッと何かが外ですごい勢いで落ちていった


「なんだ?ありゃ」

「鳥じゃない?たまにいるのよ、ああいうの」



そして、目的地へ着いた

が、アサコがいない


「アサコは何処だ?」

「迷子になっちゃったのかしら……」

「アサコー!!」

「……恥ずかしいよ、ナツ」


だが、グレイ一人だけはムスっとしている


「アイツのことだ。どーせ先に行ったか帰ったんじゃね」

「!グレイ、お前……!」


その時


『みんな、ごめんね。待たせちゃった』

「お!アサコじゃねぇか!」

「大丈夫?」

「無事でなによりだ」


みんなは私を許してくれたけど、グレイだけは不機嫌だった

そりゃそうだよね。嫌われてるもん






──ズキズキと痛む胸を抑え込み、これでいいんだと言い聞かせた

私は、グレイから憎まれるべき存在なんだから



To be continue……

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ