FAIRY TAIL

□*013*
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「アサコ!無事だったのか!」

グレイが話しかけてきた


『うん。少しも怪我してないよ』

ほら。と言ってクルリと回った


「そうか。ならよかった」

そう言って、私の頭をクシャりと撫でた


「グレイさま!」

ジュビアが駆け寄ってきた

「この依頼に行きましょう!」

「アサコ、話の途中でわりぃな。じいさんにコイツの面倒見ろって言われててな」

『うん、私は大丈夫だから
頑張ってきてね』


その言葉に反応するジュビア


「はい。私とグレイさまの2人で頑張ってきます!2人で、です!」

“2人で”というところを強調するジュビアに苦笑いをこぼす

私は恋敵じゃないんだけどな……


胸の奥深くで感じている痛みには気付かないフリをして見送った


『よし。さっさと仕事行っちゃお』

私は時間のかかりそうなSS級クエストを選んでマスターに受理してもらった

それは、闇ギルドの討伐だった


「うむ。気をつけて行ってこい」

『はいマスター』

私は誰にも声をかけずにギルドを出た




─────────




アサコが出たあとのギルド


「ぬわあぁぁ!寝過ごしたああぁぁ!!」

「ナツが起こしてくれなかったからだよ」

「俺のせいかよ!?」


ナツは息を切らしながらギルドを見渡した


「アサ…コは?」

「そういえば居ないわね。さっきまでいたのに」

「アサちゃんなら仕事行っちゃったみたいだよー?」

レビィの言葉に反応するナツ


「なに!?おいミラ!アサコは何の仕事に行ったんだ!?」

「まあまあ。言ってもいいけど、ナツは追いかけられないわよ?
だってアサコ、SS級クエストに行っちゃったんだもの」



「……………はああぁぁ!?SS級クエストぉ!?」

「タメが長いよナツ」

「ちょっとナツ!もう少し静かにしてよね!私だってアサコに会えなくて寂しいんだから!」


そう声をあげたのはリサーナ

エドラスから帰ってきて、久しぶりにアサコに会えたのに行ってしまって寂しいのだ


「くっそおおぉ!!ぜってぇ止めてやろうと思ったのに!」

「寝坊したナツが悪いよね」

「つーかガジルとかウェンディとかラクサスとかギルダーツとか居ねぇのか!?」


その言葉に答えようと、マスターが降りてきた


「ガジルもウェンディも仕事じゃ
ラクサスは知らんが、ギルダーツは家におるはずじゃ」

「ラクサスぅぅ!どこだあぁぁ!!」


「あぁ?なんだよ、うるせーなぁ」

ギルドの扉にはラクサスがいた


「お前、今までどこにいたんだよ!」

「どこって…買い物だよ」


そう聞いた途端、落胆するナツ


「くっそぉ…。あいつ、ぜってぇ俺たちが居ない時狙ったな」

「なんの話だよ」

「アサコが一人でSS級クエストに行っちまったんだよ!」

「なにいぃぃ!?」


ラクサスの後ろから現れた人物、ギルダーツが驚愕の声を上げた



「俺のかわいい娘は一人でそんな危険な仕事に!?」

「なんでも、闇ギルドの討伐らしいわよ」


ミラの言葉にさらに目を見開くギルダーツ


「なぜ誰も止めなかったあぁぁ!」

「ごめんなさいね。仕事を受理するのも私の仕事だから」

「いや、ミラは悪くねぇ」


アサコのやつ、次は逃がさねぇからな
なんてブツブツ言っているナツ



しばらくして



「ただいま戻りました〜」

「ケッ。簡単だったぜ」


ウェンディとガジルが戻ってきた

ガジルに至っては、嬉しそうにリリーを連れている


「おいお前ら!作戦会議だ!」

「あら。ナツからそんな言葉が出るなんて驚きね」

「シャルル!」

「なんで俺が火竜なんかの……」
「いいから来い!」


「あいつら何やってんのよ」

「さあねぇ」

コソコソしだす三人を見て、疑問に思うルーシィと、相変わらず酒ダルを抱えているカナ


そのあとも、いつものような時間が過ぎていった



──夕方



「あらグレイ、おかえりなさい」

「おう。ただいま、ミラちゃん」

そこでグレイはキョロキョロとギルドを見渡す


「どうなさったんですか?グレイ様」

「あー…いや、アサコは居ねぇのか?」

「アサコなら一人で仕事に行っちゃったわよ」


ルーシィから詳しく話を聞いて、グレイの眉間にしわが寄った


「………そうか」



それから二週間後、アサコは帰ってきた


「あらアサコ、おかえりなさい」

『ただいま、ミラ』

「アサコぉぉ!!パパは心配したんだぞおぉ!!」

『あ、ごめんなさい』

そのままアサコは二回のリクエストボードを見に行って、さっと依頼を選んだ


『マスタ…』「いけぇ、ハッピー!」
「アイサー!」


バサッ

飛んできたハッピーはアサコの持っていた紙を掴みとって、ナツに渡した


「アサコ!この前俺にメシ作ってくれるっていってたよな!」

『え?そんなの言ってな…』「オイラも早く食べたいなぁ」


そんな約束をした覚えは微塵もないが、取り敢えずご飯を作った


次の日は、仕事に行こうとするとウェンディが、その次の日はガジルが止めてきた


(くっそおぉ!S級魔導士昇格試験があったらアサコを引き止められんのに!!)

心の中で叫ぶナツを見て、グレイは不思議に思っていた

(何やってんだ?コイツら。つーか、アサコに近づくんじゃねーよ!)


そんなこんながあって一週間後……

S級クエストに行こうとすればラクサスがついて来た


「アサコ、俺も行く」

『うん、いいよ』


なるべく一緒には行きたくなかったが、そんなことを言ってても始まらないので了承した


私たちが出る一日前、グレイとジュビアも出発していた

あの二人もいい感じだな



「ところでアサコ。今回の依頼は何なんだ?」

『バラム同盟の一角、冥府の門(タルタロス)の傘下の闇ギルドを倒すこと』

「そうか。いくらお前が強いとはいえ、気をつけろ」

『わかってるよー。それに、私なんかよりラクサスの方が強いって!』







──この時まだ、私たちは…いや、私は知らない


これから、心を抉られるような悲しい出来事が待っていることに



To be continue……

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