FAIRY TAIL

□*009*
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ギルドに帰ってきた私は、ジェラールに会いに行った

「俺は、評議員に捕まった方がよかったんじゃないか」

『ジェラール。あなた、記憶が戻ってるんでしょ?
エルザにはあなたが必要なの』

「だが、俺は許されないことをした」

『なら、あなたと同じ道を歩む人を減らすような活動をする。それがあなたに課せられた刑』

「そうか……。では、俺は旅をする
そこで、多くの仲間を作っていく」

『そう。頑張ってね、ジェラール』



──────



いつもどおり賑やかなギルド


と、いきなりけたたましく鐘が鳴り出し、慌ただしい放送が流れた


《マグノリアをギルダーツシフトに変えます!みなさん、至急指定の位置へ!繰りかえします……》


私は鐘が鳴ったとともに、外へ駆け出した


「アサコ!?そんなに急いでどうしたの?」

「あー。アイツが帰ってくんのか」

「アイツって誰……って、町が割れたぁ!?」


ギルド内ではルーシィの驚きが響いている


「ああ。アイツは帰ってくるときに無意識に家を破壊しながら来るから、ギルドまで一本道が出来てンだよ」

「その人いったい何者なの!?」




『東の魔法、倭建命(ヤマトタケルノミコト)!』

飛び出していった私は、猛スピードで走った


「ん?なんだ、あのこっちにすげぇスピードで来る砂煙は」

『ギルーー!!!』

ドスッ


「うおっ!?って、アサコか!おっきくなったなぁ」

『えへへ』

「つーかお前、んな魔法使えたか?」

『五年間修行してたんだ!』

「そーか。よし、一緒にギルドに行くか」

『うん!……で、その手と足はどうしたの?』


私たちは歩きながら話した

私はギルの動きがなんとなくおかしいと思って見ると、義足と義手になっていた


「あー、これか。仕事先で竜にやられちまった」

『それって……アクノロギア?』

「そうだ。よく分かったな」

『私も…そっち側のものだから』

「そうか………」


ようやくギルドについた


「ギルダーツ!」
「お帰り、ギルダーツ」
「お疲れ様」


「そこの綺麗なお嬢さんは新入りかい?」

「ふふっ。私ミラジェーンよ」

「ミラか!だいぶ変わったなぁ
つーか、ギルドも新しくなってねえか!?」

『東の魔法、玄武召喚』


《あのね、ギル。ミラが変わったのはリサーナが死んでしまったからなの》

念話をすると、ギルが驚いた顔で見る


多分、アニマに吸い込まれたんだと思うけど……


「ギルダーツ!」

「おお、ナツか!久しぶりだな」

「俺と勝負しろおぉぉ!!」

「疲れてんだよ。帰ってきてすぐの奴に喧嘩売るな」


呆気なく撃沈するナツは、キラキラした目で見ていた

「やっぱ強ぇなぁ」




「相変わらずだな、オッサン」

「漢の中の漢おぉぉ!!」


グレイやエルフマンも、ギルの帰還を喜んでる


「ギルダーツ」

「おお、マスター!久しぶり!!」

「仕事の方はどうじゃった」

「がっはっはっはっはっは!」

大笑いするギルに、溜め息をつくマスター


「ダメだ、俺じゃ無理だわ」

その言葉にざわめくギルド


『妖精の尻尾最強の魔導士でも出来ないなんて……』

「いや、俺はアサコのほうが強ぇと思うぜ?」

そんなことを言ったギルはスルーされた


「妖精の尻尾最強の魔導士でもクリア出来ないクエスト……想像もしたくないわ」

ルーシィ…;


「そうか…主でも無理じゃったか」

「すまねぇ。名を汚しちまった」

「いや、無事で帰ってきてくれただけで十分じゃ
わしの知る限りでは、このクエストから帰ってきたのは主だけじゃ」



「俺は休みてぇから帰るわ
アサコも一緒に帰るよなー」

これは、話があるって事か


『うん。久しぶりに話もしたいし
ね?…………ギルパパ////』

「ぎ、ギルパパ!?」

目を見開き、驚くルーシィ


「いやぁ、照れるねぇ」

『ギルがそう呼べって言ったんでしょ!』


私は恥ずかしくなって、ギルを引きずってギルドから飛び出した

「あ、ナツ!大事な話すっから、来んじゃねぇぞ!」

『あっ!………ラクサスも…来て?』

「おう」


私たちはギルの家に向かった



───────



「ミラさん!ギルダーツってアサコのお父さんなの!?」

「ん〜。まぁ、似たようなものじゃないかしら」

「アサコはギルダーツに拾われたらしいからな」

「エルザ!って、らしい?」

「ええ。アサコはだいぶ昔から居たのよ?」

「俺が来た時にはもう居たな」


「グレイ!服!」

「うおっ!?」

「俺が来た時にも居たぜ〜」

ワラワラと人が集まってきた


「だからアサコはギルパパって言ってたのね」

「まぁ、あれはギルダーツが呼ばせてるみたいだけど……ギルっていう呼び方は変わらないわね」

と、微笑ましそうにアサコが出て行った扉を見るミラ


ルーシィたちがそんな話をしてるとき、カナはずっと不機嫌そうに酒を飲んでいた


─────



「で?アサコ、話って何だ?」

『えっと……私がニルヴァーナの仕事に行く前に少しだけ話したでしょ?』

「人間じゃねぇってやつか?」

『うん……』


言いにくそうな私を気遣ってか、ギルが代わりに言おうかと言ってくれた


『ううん、大丈夫。ありがとう

私ね……ゼレフ書の悪魔なんだ』


「は?ゼレフ書の?」

「というか、ゼレフ書の悪魔が埋め込まれてるっつーわけだ」

「そうか。で?」

続きを促すラクサス


『……怖く…ないの……?』

「お前、自分がカルディア大聖堂で言ったこと覚えてねぇのか?
俺はお前が何者だろうがアサコはアサコだって」

『うん……ありがとう!』

それを聞いて、少しは心が軽くなった


『名前はデリオナ』

「デリオラ?あの厄災の悪魔か?」

『ううん。デリオナって言って、一応デリオラの妹みたいなものかな』

「で、そのデリオナっつーのはなんなんだ?」


『近くにいる悪魔と共鳴して、その悪魔の力や能力を上げたりできる。
デリオラの妹って言ったけど……実際デリオナがつくられたのはもっと後

ゼレフ書最凶最悪の炎の悪魔、ENDが最後に作られたとされているけど、実はENDは最後じゃない
私が最後なの。ENDの力を高め、ゼレフを滅ぼすために』


「ゼレフは自分を破壊してくれる存在を願った。それがゼレフ書の悪魔だ」

「そうだったのか……」

『でね。もし私が暴走したら、止めて………いや、冥府の門(タルタロス)の九鬼門の1人、絶対零度のシルバーに連絡をつけて。彼なら応じてくれる』

「アサコ!それはナシだと……」

『ギル。修行して、ちゃんと制御出来てるから。もしも、だから。ね?』

「お前の話はよく分かった。だが、そのシルバーとやらには連絡はしない
俺が止めてやる」


みんな……優しすぎだよ


『ありがとう。ラクサスは、もう残ってもいいし帰ってもいいよ』

「今から何するんだ?」

『特に大きなことじゃ……』
「近況報告」

「よし、俺も聞いてやる」

何故か楽しそうにラクサスが座った


『特に何もありませんでした』

「覚えた魔法は?」

『天照、月読、火、水、氷、雷、風、地、鉄、剣、力、速さ、防御、草、織り物、四神、龍神様、最強技の三貴神。
………………不可抗力で黒魔法』


「おい、特に何もありませんでした。とか言った口はどれだ?」

そう言ってギルはほっぺを摘んだ

『ひゅいまひぇん(すいません)』

「お前、黒魔法なんてあるのか」


『実はこの魔法は複雑で、簡単に言うと使う魔法の神様と契約みたいなものをしなきや使えないの。
で、私の中のデリオナに気付いた伊邪那美(イザナミ)が、ついてしまったと』

「見せてみろ」

え?


『ほ、本気で言ってる?』

「いいぞ。丁度俺らはS級魔導士だ。なんてこたァねぇ」

『体の一部取られた人が言う?』

「ははっ」

『もう。……東の魔法、伊邪那美』


ぶわっと周りの空気が変わった

心なしか、ギルまでもが若干青ざめてる気がする


ふっ

私は魔法を解いた


「いやぁ、あれはヤベェな」

『うん。だから使ってない
ちなみに、あれよりもうワンランクかツーランクヤバイのもある』

「いや、もうしなくていい」


ラクサスがとめる


『で、私がしたかったのはギルの治療』

「あ?んなのいらね…」
『あぁ。ギルパパのたくましい身体(からだ)が久しぶりに見たかったのになぁ。
せっかく完全な身体に、娘らしく抱き着こうと思ったのになぁ』


「調子のいいやつ……」

ラクサスが何か呟いている


「照れるなぁ。そんなにアサコが望むなら仕方ねぇ」

『はい。じゃあ外に出て』


私は地主の神(トコヌシノカミ)になって、地に魔法陣を書いた


「なんで魔法陣なんて書いてんだ?
しかも換装してまで」

『これは地の神様で、書いた魔法陣の効力を上げるため。魔法陣は今から使う魔法の力を上げるため』


ふぅ。これでよし


『ギルは義足と義手はずしてココに立って。
東の魔法、月読』

私は魔法陣の上に座るギルに魔法をかける


「おいっ。お前、無理してねぇか?」

集中したい私は、ラクサスの問いに小さく頷く


十分後──


「おお!すげぇ!」

ギルは年に似合わず走り回ってる


「アサコ。体、キツくねぇか?」

『大丈夫だよ。魔法陣も書いたし』


「お前、成長したな!俺より強いんじゃねぇか?」

『そんなことないって!』


私たちは再びギルドに戻ろうと足を進めた


「そういえばお前、内臓もいじっただろ」

『えへへ。バレた?』

「お前、スゲェよな」


ギルドに着くと、急にギルが抱きついてきた


『へっ?ちょっ、何!?』

「ギルパパに抱きつきたいんだろ?アサコちゃーん」


ラクサスに助けを求めるも、そんなこと言ったお前が悪いと、助けてくれなかった


「ギルダーツ!アサコは俺のだ!アサコから離れろ!」

「んだとクソ炎!アサコはお前のじゃねぇ!俺のだ!」

「こーいーがーたーきー…!!」


………私はどっちのものでもないんですけど

「アサちゃん!前読んでた本の新作買ったんだ!読む?」

『うん!あっ、レビィがこの前気に入ってた本全巻持ってきたよ!』

「ほんと!?ありがとう!」

「どれどれ?あたしにも見せて!」








私たちは、束の間の平和を楽しんだ



To be continue……

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