FAIRY TAIL

□*002*
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私は、誰かの話し声で目が覚めた


『──ん…ここは?』

「アサコ!」

「目が覚めたか!」

「体はなんともないか?」

目の前には心配そうなグレイとナツ、それにエルザがいた
部屋の隅には、見知らぬ金髪の少女が居た


『大丈夫だよ。なんともないから
で、ここって医務室?』

何事も無かったかのように話す私にホッとするみんな


「私はマスターを呼んでこよう」

「おぅ、頼む」


暫くして


「アサコ。目が覚めたか。気分はどうじゃ?」

エルザがマスターを連れて戻ってきた


『なんともありません。ご心配をおかけしました』

「お前さんが気にすることはない。
それより、帰ってきて早々悪かったのぅ」

『正直最初は何があったのかと思いましたけど、好きでやったので……
あの、それよりラクサスは?』


「お主、あやつに会いたいのか?」

『はい』

「ちとまっておれ」


マスターが出て行った途端


「アサコ!ほんとにラクサスに会うのか!?」

「お前を傷つけたやつだぞ!?」

『うん、会いたいの。
それより……みんな、ただいま』


微笑んで言うと、エルザも微笑み返してくれた


「ああ、おかえり。随分と大きくなったな」

そう言って私を抱き寄せた
……毎度おなじみながら、鎧で頭をぶつけた


「エルザ!アサコは病人なんだからンなことしたら悪化するだろ!」

「! すまない、アサコ。
どうか私を殴ってくれ!力いっぱい殴ってくれ!」

『大丈夫だよ。それに、久しぶりにエルザにギュってしてもらえて嬉しかったよ?』

「お前というやつは……なんていい子なんだ!!」


私がギルドを出た時と変わらない

それが私にとって、何より一番嬉しかった


「あ、あのっ!」

隅に居た金髪の女の子が話しかけて来た

『ん?』

「あたしっ、ルーシィって言います!ルーシィ・ハートフィリアです!」

『ルーシィね。私はアサコ。
アサコ・フローレイよ。
あと、敬語は無しで呼び捨てね?』

「うんっ!」


コンコン


『はーい』


ガチャ

「………」

入ってきたのはマスターに連れてこられたラクサス


『ただいま、ラクサス』

「……お前は、怒ってねぇのか」

『ん?別に怒ってないよ?前にラクサスに助けてもらったから今度は私の番って言ったじゃない
こういうの、持ちつ持たれつっていうんだよ?』

「あれだけの攻撃を受けてもか。
たとえ、滅竜奥義を受けてもか」

『私は平気だからいいの!
それに私は………いや、何でもない』

────だから滅竜奥義くらいじゃ、傷は負わせても死なない


『そんなことより!』

「そんなことなのか!?」

「ナツは黙って聞いておけ!」

ゴンっ

エルザの鉄槌が落ちた


『ラクサス!ただいま!!』

「……………………おぅ」

『もう。おぅじゃないでしょ!た・だ・い・ま!!』

「……おかえり」

『フフッ。いい子いい子』


そう言ってラクサスを撫でた


「アサコ。もう、そろそろいいかの?」

『ん?いいけど……』

なんでそんなこと聞くの?


「さぁ、行け!ラクサス!!」

「あぁ、わかったよ。じゃあな…じぃじ」


「じゃあな…じぃじ」ってもしかして!


『ラクサス!』

私は咄嗟に腕を掴んで引き止めた

「何だよ。まだなんかあんのか?」

『ねぇ、どこに行くの?』

「んなの決まってねぇよ」

『マスター!ラクサス……破門なんですか!?』


私がそういった瞬間、部屋が静まり返った

どうやら、私が眠っている間に決まったことらしい


「そうじゃ」

『よくわかったな……みたいな顔して!わかるに決まってるじゃない!
だって……だってラクサス、すごく悲しそうな顔してるから!』

「アサコ……」


『マスター。ラクサスを破門にするなら、私も破門にしてください』

「なっ……」

「何言ってんだアサコ!」

「そうよ!アサコどうしたの?」

私の言葉にざわめくグレイとナツとルーシィ


「お前は何もしていないじゃないか」

だから辞める必要はない。と、私を諭すエルザ


『確かに今は……ね。まだ何もしていない

だけどマスター。誰一人として死人が出た訳じゃない。これくらいで破門にするなら、私なんてもうとっくの昔に破門よ』


「アサコ……じゃが」

「もういい。アサコも、お前の気持ちはよくわかったから」


『ダメよ!ラクサスは……ラクサスはしっかりしすぎていて………
ラクサスより上の人なんてほんのひとなんてつまみほどもいなくて………
だから、頼る事が…誰かにもたれかかる事が出来なかった
だから溜まってしまったものを一気に吐き出してしまった

ただ…それだけじゃない』


「アサコ………」

『ナツだって、ラクサスに辞めてほしい訳じゃないんでしょ?
ラクサスのこと、みんなのこと、大好きだから』

「当たり前だ!」

『グレイも、エルザも、ルーシィも、心の底からラクサスが辞めることが嬉しい訳じゃないでしょ?』

ラクサスが出ていくとき、寂しそうな表情が顔を掠めていたから


『お願いします、マスター。
どうか、ラクサスの破門を取り消してください』

そう言って深く頭を下げた


「じゃがなぁ……」

チラッとギルドのみんながいるであろう方を見た


『私が、聞いてきます』

私はベッドから降りると、みんなのもとへ向かった


『みんな!!』

「アサコ!」

「もう大丈夫なのか!?」


などといろいろな声が聞こえた



『お願いが…あるの』

「アサコ。言ってみな」

カナ………


『ラクサスのこと……ラクサスの破門を取り消して、再びこのギルドのメンバーとして迎えいれるのは、ダメかな?』

そう言ったあと、ギルドがざわめきだした

「あんなことしたのにか?」
「それをもう一回いれるの?」
「元々あいつ怖かったしなぁ」


ダンッ

カルディア大聖堂で出会った鉄竜がテーブルを叩いた

「ここのギルドの奴は……お前らは俺を仲間にしてくれた。
元々全く違う敵対していたギルドの
しかも自分たちのギルドを破壊したやつをだ
元々違う奴は受け入れられて、元々仲間だった奴は受け入れられねぇのか?」


「そうだよ。ガジルの言う通りだよ!
確かにラクサスは日に日に怖くなってたよ。でも、この中の誰か一人でも歩み寄ろうとした?
ラクサスを理解しようとした?

ガジルのことを受け入れられた私たちなら、ラクサスのことだって大丈夫だよ!」

レビィ……

「それに、アサちゃんがついてるしねっ!」


「レビィの言う通りだ!」
「俺たちはラクサスのことを知ろうとしなかった!」

マックス……ドロイ……

「私たちシャドーギアは、ラクサスが入ることに賛成だよ!」


「ジュ、ジュビアも賛成です!」

「じゃあ、チーム元幽鬼の支配者(ファントムロード)も賛成だな。ギヒッ」

「ジュビアはガジルくんとチームを組んだ覚えはありません!
ジュビアはグレイ様のモノです!」

ジュビアさん……ガジルさん……


「漢なら賛成だあぁ!」
「私も賛成ね。アサコにそんな風にされたら、心が動いちゃった」

エルフマン……ミラ……



「だよな。アサコがあんな風にして頑張ってんだから俺たちも動くべきだよな」
「そうよね。今から知っていくのも大事よね」


「みんな!賛成でいいかい?」

「「「うおおおぉぉぉ!!」」」


カナの一言で叫び出すみんな


『みんな……ありがとう』

マスターに報告しようと後ろを向くと、すでにマスターは立っていた


「……ラクサスの破門は無効じゃ」

『ありがとうございます!マスター!』

「けっ……お人好しな奴ら」

『もうっ。ラクサスも素直になりなよ』

「…………………………サンキューな」


そう言って頭をぐちゃぐちゃと撫で回した

『フフッ、どういたしまして。
あ、そうだ!おかえり、ラクサス!』

「あ?……ただいま」





────ラクサスが戻ってきてくれてよかった……

でも、いつかは私の話もしないとなぁ


「今日は宴じゃああぁ!!」


今は宴を精一杯楽しもうっと




To be continue……

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