FAIRY TAIL

□*001*
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ここは、フィオーレ王国にある町、マグノリア

私、アサコ・フローレイは五年ぶりにこの町に帰ってきた


『やっぱりここは落ち着くなぁ
ただいま、マグノリア』

ん?何かが町に浮いてる?


空には、マグノリアの町を囲むような円形状に雷マークのついた魔水晶(ラクリマ)が浮かんでいた


『なんだろう……?確かめてみようかな
東の魔法(イースト・マジック)志那都比古(シナツヒコ)!』

私は風神である志那都比古の衣に換装し、風の力で空に浮き上がった


町を見下ろすと、何故か仲間どうしで戦っている妖精の尻尾がいた

……これ、危険なもの?


一応雷マークがついているため、地に降りて雷に対応できるものに変えた


『東の魔法、建御雷(タケミカヅチ)!』

試しに1つ破壊してみた


バリバリバリッ

『くっ……』

私は雷の攻撃を受けたが、建御雷の衣を纏っていたためダメージは少なかった
生体リンク魔法か……


それに、これはラクサス?
なんとなくそう感じた



……もしかしなくてもこれって、マグノリアの町に発射する気!?


と、カルディア大聖堂の方から大きな魔力を感じた

ラクサス…?

何はともあれ、この魔水晶を破壊しないと!


『東の魔法、志那都比古!』


私は空へ浮き上がり、魔水晶を回収して町の上空の真ん中に集めた

『一気に壊したらどれだけの被害があるんだろう』


わからなかったため、取り敢えず高いところまで持って行った


そして、風で魔水晶たちを囲む結界を張り、結界の中に強力な竜巻を起こした
そのままそれを魔水晶にぶつけた


すると、一斉に雷の攻撃が炸裂した


『うっ…』

なんとか結界を持ちこたえ、魔力を感じたカルディア大聖堂に向かった


『これで町は大丈夫だけど……ラクサスは大丈夫じゃないよね』


私はカルディア大聖堂の前に降り立ち、建御雷に換装し直した

中では、ボロボロのナツと誰か黒髪の(おそらく滅竜魔導士)男の人が、ラクサスと戦っていた

ラクサスは明らかにおかしかった


『……っラクサス!』

「よォ、アサコじゃねえか」

ラクサスは一旦動きを止めた


『ねぇ、どうしたの?何か辛いことでもあった?』

「俺はただ、強ぇギルドにするためにマスターの座を譲れってジジィに言ってんだ」

『そっか……』
そんなことがあったんだ


「アサコ!ラクサスはギルドの仲間を傷つけたんだ!
放っておくワケには行かねぇ!」

ナツが叫んだ


ナツ、ギルド大好きだもんね


「……レイジングボルト!」

ラクサスはボロボロの二人に向かって雷撃を放った


『東の魔法、天目一箇神(アマノマヒトツノカミ)!』

私は鉄剣を出し、レイジングボルトを受け止めた


『うぅっ……』

「アサコ!」

「何やってんだそこの女!」

『……そこの黒髪のあなた、何の滅竜魔導士?』

「……鉄だ。つか、なんで滅竜魔導士ってわかっ……うおッ」


私はそのまま鉄剣を鉄の滅竜魔導士に向かって放った


『食べるでしょ?普通の鉄よりは美味しいと思うけど……

東の魔法、火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ)!
ナツも……はい』

ナツには炎を渡した


これで少しは回復してくれるかな?

私は再びラクサスに向き直った

私の後ろで二人は「うめぇ!」といいながら食べている


『東の魔法、建御雷。
ただいま、ラクサス』

「お前も俺の邪魔をするのか?」

『……わかんない
けど、ラクサスと向き合いに来た』


そう言って私より背の高いラクサスを、ギュッと抱きしめた


『ギルドが欲しいのは、妖精の尻尾を強くしたいからだよね?』

「……るせぇ」

『妖精の尻尾を強くしたいのは、他の人になめられるのが嫌だったからだよね?
妖精の尻尾に誇りを持っていたから』

「うるせぇ」

『でも、それだけじゃない。
ラクサスは、あのマカロフの孫という肩書きが気づかない間にいつしか嫌になってた』

「黙れ」

『だから、余計にギルドを強くしたかった。
マスターになって、マカロフより出来る。俺はマカロフの孫だからじゃない、それより上だ……って』


「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れー!!
お前に、俺の何がわかるっていうんだ!」

そう言って彼は、強烈な電撃を放った

『うっ。(……やっぱりラクサスも滅竜魔導士だったんだ)』

「アサコ!」
「お前は離れてろ!」

ナツと鉄竜の声が聞こえるが、それでもなおラクサスを離さないアサコ


『好きなだけ攻撃していいよ。
今まで溜め込んでちゃった分を全てここで吐きだして』


「コロス……お前らみんな、殺してやる!!
雷竜の顎(らいりゅうのアギト)!!!」

『かはっ……』


痛い。苦しい。私はそれでも、ラクサスの攻撃をすべて受け止める


「アサコ!もうやめろ!!」

『ナ…ツ……来な…いで』



「滅竜奥義・鳴御雷(ナルミカヅチ)!!」


『うあぁっ………ねぇ、覚えてる?ラクサス、あの時言ってくれたよね。
「何が後ろめたいのか知らないが、アサコはアサコだろ。お前が誰だろうがお前はアサコだ」……って

私ね?嬉し…かったんだ
勿論、甘えちゃ…だめだって思ったから…旅に……出たんだけど

今度は…私が言う番……
ラクサスは…マスターの孫だろうが…なんだろうが、一人の…魔導士。妖精の尻尾の…立派な…自慢の魔導士…だ…よ……』


カクンッ

体の力が抜けた

「アサコーー!!」


体に限界が来たのか、私の記憶は途絶えた

最後に、ここにいるはずのないグレイの声が聞こえた気がした









ーーーラクサス。一人で抱え込まないで
私が……みんなが側にいるから

またみんなで笑おうよ
「また派手にケンカしたな」って…



私はただ、昔のラクサスに戻って欲しかった

あの、優しくて暖かかったラクサスに……



To be continue……

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