君の幸せを願ってる

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空は青く澄み渡っている


絶好の散歩日和だ



「朝子。詩人の門に集合だ」

『はい。イザナ殿下』


朝子は詩人の門まで移動を開始した

ゼンたちは先に行っているとの事だった


『お待たせしました』

「来たか」


朝子が着いた時には、すでに相手の男性が来ていた

朝子が詩人の門に到着したのを確認し、イザナは息を吸った


「これより、試験の第一日目を開始する」


凛とした声が響きわたる

その声に続き、兵の一人が一歩前に出た


「試験内容は“速さ”
今から二人には三つのポイントを回ってもらいます

順不同で、薬室、ゼン殿下の執務室、青評議会の間でサインを貰うこと

薬室には白雪殿かリュウ殿、ゼン殿下の執務室には木々殿かミツヒデ殿、青評議会の間にはガラク殿か八房殿が居られます

最後にここ、詩人の門まで先に戻って来た者が勝者とみなす」


兵の一人が説明を終え、一歩下がる


「では、用意はいいか?」

「はっ」

『はい』

「位置について、よーい……」


ドォン…と、ドラのようなものが鳴らされた

試験スタートだ







オビside


「いやぁ、俺のsideって初めてですね!」

「……誰に向かって喋ってるんだ?」

「九割九分九厘ミツヒデじゃないから安心しな」

「木々酷くないか!?」

「お前たち、少しは静かにしろ」


主の執務室に主と木々嬢、ミツヒデの旦那と一緒に朝子と名も知らない男を待っている


「というか、朝子がフリなんじゃないか?」

「そりゃまた、なんでです?」

「あの男は城の構造を知っているが、朝子は知らんだろう」

「なるほど!」


確かに、朝子はこの城に来て一ヶ月も城内を歩いた経験がないのだから、道などを知らなくて当然だ

……いや、木を渡る練習してなかったっけ?


「朝子なら大丈夫でしょ」

「何を根拠に?」


木々嬢の言葉に首を傾げる主


「あの子、この世界のことよく知ってたから
私の見たことのないゼンやミツヒデのことも知ってるみたいだし」

「なるほどー」


顎に手を当て、フンフンと頷く

いやぁ、木々嬢は相変わらず頭まわるなあ

と、その時
外からゴォン…と開始の音が鳴った


「ポイントは確か、ここと薬室と青評議会の間だろ?
ということは、ここ、青評議会の間、薬室の順で回るのが速いな」
(どの道が近いとかは勝手に想像で決めました!本当はどうかは知りません;)

「なら、どっちが先に来るかだね」


いや、道を使わないならどこも同じじゃ……


「何!?道を使わないだと!?」

「へ?」

「心の声がダダ漏れ」

「おや、俺としたことが」


ついうっかり、と頭の後ろを掻く


「……お前と同じ移動手段なのか?」

「やだなぁ、主もじゃないですか」

「そんな話はしてないわ!」


やいやいと話していると、扉が開かれた

そこにいたのは……




「木々殿!ミツヒデ殿!サインを貰いに参りました!!」


男の方だった


「早いね」

「そうだな。ほら、サインだ」

「で、殿下は何故ここに!?」


物凄く驚いている男


「俺だって経過は気になる」

「お…私が先に来たようですね」

「そうだねー」


今絶対“俺”って言いかけたよね

男は俺の肯定の言葉を聞いて、当然だという顔をした


「それでは失礼いたします」


男は颯爽と去っていった




───数分後───


「朝子来ませんねー」

「そうだな……」


ガチャ


『木々!サイン……って、オビ!!?
あ、ゼンも』


朝子は付け足したように主の名も呼んだ


『あ、木々!サインくださいっ』

「はい」

『ありがとう!』

去って行くのかと思いきや、若干挙動不審な朝子


「どうかしたのかい?」

『……いいですか?』

「はい?…何かわかんないけどいいですよ」

『それじゃ、少しだけ!』


そう言って朝子は走り寄ってきたかと思うと、俺の手をギュッと握ってジッと顔を見つめて来た


「朝子?」

『……よしっ、チャージ完了!
では、行ってきます!!』


そう言うと、さっきの男とは比べ物にならない程のスピードで走って行った


「……何だったんでしょう」

「さあな………」


すると、ミツヒデの旦那が何かをひらめいた


「あ、あれじゃないか?
白雪がゼンの手を握ってパワーを貰ってたじゃないか!」

「ああ、宮廷薬剤師採用試験の時だね」


……………………


「オビ?どうかしたのか?」

「あ、いえ。なんでもありませんよ
それより木々嬢、朝子のサイン帳どうなってました?」

「すでにガラク薬室長のサインがあったよ」



……………は!?



「速すぎだろ………」


主の執務室で、四人揃って驚いたのは言うまでもない











To be continue……

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