君の幸せを願ってる

□[
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『いくよ?』

「いつでもどーぞ」


朝食を終えた朝子たちは、貸し切りの訓練所で向き合っていた

ここには誰一人見物人はおらず、二人だけの空間となっていた


『じゃあ、よーいスタート!』


朝子はサッと間合いを詰めてオビに蹴りをいれた

だが、ヒラリとかわされてしまう

隙をついて殴る蹴るの繰り返しだが、全然当たらない


『はっ!』

「おっと…」


当たったと思えばガードされてしまう


「そろそろ反撃といきますよ」


オビが反撃開始するも、朝子もかわす

だが、オビが受けていた時に比べると防御が目立つ


『っ!』

「おっと␣あぶね」


朝子がフッとバランスを崩し、そこに蹴りを入れそうになったオビは朝子の体を支えた


『あーあ、バランス崩しちゃった』

「いや、それでも中々のものでしょ」

『ほんと!?……いや、でもまだまだだな
もっとお願いします!』


オビは彼女の気迫に驚いたものの、真剣な瞳に押し負けて特訓を承諾した






そして


朝子がゼンに時間をもらってから二週間
オビに鍛えてもらってから一週間経った



「みな、よく集まってくれた」


城内に召集をかけたイザナがみんなの前に立っていた


「これから五日間にわたり、ある試験をする」


イザナの言葉に、一人の衛兵が進み出た


「五日間で計五つの種目を行います
受験者はこの方です」


すっと出て来たのは朝子だった

そしてその姿に驚いた者が五人

ゼン、白雪、ミツヒデ、木々、オビだった


「彼女が急に城に来たということに意義のある五人の侯爵たちの選んだ者たちと一人ずつ競い合ってもらう

その五人に朝子が勝てば、彼女がここにいる事についてなんの意義も受け付けない


いいか?」



イザナの言葉に戸惑いながらも頷く人々


「では、一時間後に始める
君は指定されている待機部屋で待っていなさい」

『はい、殿下』


朝子はくるりと踵を返して待機部屋へと向かった





─待機部屋─


コンコン


『はーい』

「朝子?開けてもいいかい?」

『どーぞー』


ガチャリとトビラを開いて入って来たのはオビだった


「あんた、大丈夫なのかい?」

『え?』

「急に試験だなんてそんな…」コンコン


再び客が来た


『はーい』

「朝子!いったいどうなってるんだ!」


扉が開くと同時に、ゼンたちがなだれ込んできた


『いやさ、こんな何処の馬の骨かも解らないような人をおいてたらイザナ殿下とゼンの信頼性に関わる
だから、貴族の人達の自慢の人たちと対決して勝てたら認めてもらえると思うからそういう配慮をお願いしたんだ』

「お願いって…誰にしたんですか?」

『ん?イザナ殿下』

「「「「はあああああ!?」」」」

「朝子やるね」


大声をあげ驚いているゼンと白雪とミツヒデとオビ、それに冷静だが驚いている木々


『前にオビにも言ったけど、イザナ殿下だって人間なんだからそんな驚くほどのことでもないよ』

「そ、そうなのか………?」

「で、朝子はもしかして今日のために特訓を?」

『オビ、ご名答!!』

「ご名答じゃないわっ」


ベシっとゼンに頭を叩かれた朝子


『痛っ、脳細胞1万個死んだー』

「問題はそこじゃない!どうして相談しなかった!」


涙目で訴える朝子に、ゼンは怒る


『……白雪と一緒で、自分でここに居られるようにしたかったんだ
相談しなかったのはごめん……

でも、変な心配させると思ったから』


「………お前の気持ちはよくわかった
だが!次からは勝手にいろいろするなよ?
ちゃんと俺やミツヒデ、木々や白雪、オビの誰かには言うこと!」

『うん、わかった
でも、一応リュウには言ったよ?
手当てしてくれるのはリュウだから』


「「「「はあああああ!?」」」」

「そうだろうと思ってたけどね」




待機部屋に四人の声が響き渡り、その後注意された事は言うまでもない



この試合、どう動くのか


それはまた、次のお話で






To be continue……

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