君の幸せを願ってる

□Z
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「おーい、朝子!」

『あ、オビ!』

「何もなかったかい?」

『勿の論!!
あ〜、生のイザナ殿下かっこよかったなぁ……』

「おーい朝子?」


帰っておいでと言わんばかりに声をかけるオビ


『はっ!ここにもっとかっこいい人が!!』

「大丈夫かい?」

『ん"ん……よし、ゼンのところに戻ろうか』


朝子は1つ咳払いをして、ゼンが仕事をしているであろう執務室へと向かった



「お、戻ったか」

『ただいま戻りましたぁ!
で、1つお話があるんですが』

「なんだ?言ってみろ」

『一日あたり2時間程お時間をくれませんか?』

「いいが…何をするんだ?」

『それは後ほどの、お・た・の・し・み♡』


朝子の後ろで、ブッと吹き出した声が聞こえた

きっと…いや、絶対にオビだろう。うん


「…………よし、許可しよう」


今スルーしたよね?したよね!?
……ふざけましたごめんなさい


『なら、朝食前の2時間を頂戴致します』

「わかった」

『それ以外はキチンと仕事をしますので』


そのあと朝子は執務の手伝いなどをした




───────────




それから数日


「あーさこっ…て、いない?」

オビが朝子の部屋の窓から彼女を呼びに来たが、当の本人は不在だった


『あ、オビ?』

「おや朝子、どこにお出かけで?」

『あ、ちょっとリュウのところに』

「リュウ坊ねぇ」


オビが考えるような仕草をすると、朝子はいそいそと話し出した


『あ、朝ご飯でしょ?早く行こっ?』

「ほーい」


ルンルンとスキップをしながら歩く朝子の後ろを、オビが組んだ手を頭の後ろに置きながら着いて行く


『あっ、オビ!』

「なんだい?」

『ご飯終わったら手合わせお願いします!』

「………………は!?」


一瞬ポカーンとしていたが、すぐに驚愕の表情へと変わった


『お願い!』

「いや、私の仕事は貴女のような女性をお守りする事でありまして
けっして女性を、しかもお守りするべき存在に殴る蹴るをするなど……」

『あれ、騎士様……?』


朝子とオビは、二人で顔を見合わせてプッと吹き出した


『でも本当にオビと手合わせがしたい』

「え"〜」

『あっ、じゃあ!特訓してください!』

「え……」


言い換えられて戸惑うオビ

すると、後ろから拍手が聞こえてきた


「ハハッ!いやいや、朝子には一本取られたんじゃないかな?オビ」

「イ、イザナ殿下!?」

『あ、イザナ殿下。先日ぶりですね』

「朝子」

『はい?』

「君は本当に面白い」

『ありがとうございます!』


朝子がそう言って微笑むと!イザナも微笑み返した


「(あの第一王子が笑った……)」

「それじゃあ、俺はここで失礼するよ」

『はい。公務、頑張ってくださいね!』

「ああ、ありがとう
それとオビ」

「はい」

「特訓くらいしてやるといい。後輩なんだろう?」


そう残し、イザナは歩き去っていった


「アンタ…凄い人と仲良くなってるね」

『そう?イザナ殿下だって人間なんだからそんな大変なことでもないと思うよ?』

「……取り敢えず、主たちのところに行きますか
手合わせは嫌だけど、特訓くらいならいいよ」

『本当!?ありがとう!!』


朝子は嬉しそうに笑った

その表情に、オビは少し頬を染めた



二人はやっとゼンの部屋にたどり着いた


「……おいオビ。遅いぞ」

「いやあ、主の兄上様にお会いしまして……」

「兄上と!?」

「珍しいな、イザナ様がこんな時間に出歩いてらっしゃるなんて」

「イザナ殿下がこの時間に歩いてるのは珍しいんですね」

「何かあったのかな」

「それより飯食いましょうよ」

「元はと言えば遅れたお前が悪いんだがな」

「すみませんって〜」




『(ここに来てしばらく経つけど……
とてもいい場所だな)』


5人が楽しそうに話している様子を、朝子は遠目から見ていた


「朝子!早く来ないと朝食無くなるよ」

「そうそう。ミツヒデがよく食べるから」

「木々!?」

「ふふっ。ゼンもよく食べるよね」

「うるさいっ!」



朝子は微笑みながら、五人の輪の中に駆け寄った



『今行くー!』


朝子の中で、何かが変わろうとしていた





To be continue……

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