赤髪の白雪姫

□第6話
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クラリネス王国、ウィスタル城の城門
詩人の門



「何!?今後白雪殿が来ても門を通すな!?」


詩人の門で、門番兵の一人が声を上げた


「何故!?」

「待て待て!白雪どののこの門からの入城は、ゼン殿下直々に客人として許可されているんだぞ!?」

「それは取り消された」

「え!?嘘!?」


男の言葉に戸惑いが隠せない門番兵


「ゼン殿下より伝令だ」


伝令の内容は、“白雪の扱いに関し、臣下より非難の声が上がった為、これまで与えていた入場の許しは二度と無いものとする”ということだった


「そんな急に…」

「以上、口を挟むなとのこと
ご決断なされた殿下のご心痛、お察しするようよろしくお願いする」


未だにショックを受けている門番兵の2人は去っていこうとする男を呼び止めた


「待ってくれ!ならば、殿下にお伝えしなければ…!

今し方、忘れ物を取りに戻られた白雪どのをお通ししたばかりだと!!」


「………なに……!?
まさか殿下のところに…」


振り向いた男は白雪らしき赤い髪の女が走っていくのを目にとめた


城内を走る白雪


「今日城を出たら、もう会いには来られなくなる…?
本人に確かめないと……

(わかってた…つもりだったけど
私がゼンに会えるのは本当にゼンの力があってのことなんだ
だから、自分の力で同じ場所にいられる道を目指していて……)」


タンタンと階段を駆け上がっていくと、目の前に矢が突き刺さった


「どっ、どうして城内に矢が……」


そこにくくられていたリボンには
赤髪のお客人、その先一歩も踏み入ることなく立ち去れ
とかいてあった


「ゼンに…近づくなってことだ……」

『白雪』


後ろから声が聞こえて白雪が振り向けば、そこに朝子の姿は無くとも、居ることはわかった


『行きな
ゼンはもし本当にそういう伝令を出して心痛があったとしたら、自分で動いて本人に言いに来る
そういう人でしょ?』

「朝子さん…はい、確かめてきます!」



そのころ男は


「あらっ!?奥に進んだ!?
嘘だろあの子……今ので逃げ出さないのか?」


男は白雪を追いかける


「?随分遠まわりしてるな…
まあ、好都合ってことで。早く帰んな、お嬢さん」

そう言って手に持っていたクナイを投げようとすると、ゼンがやって来た


「げっ!?」

「ゼン!」

「白雪!おまえ帰ったんじゃなかったのか」

「本、一冊忘れちゃって…」

「!(………何か気配が動いたな…)」


さっと木の方を見ると、朝子が『こっちは任せて』という合図を出した


「──白雪、おまえ誰かに声かけられたりしたか?」

「朝子さんになら」

「朝子ね…で?その手の矢はなんだ?」


そして白雪は、ゼンに取り調べをされに部屋へ行った





ところ変わって男のところ


『いやぁ〜白雪なめられちゃ困るね』

「!誰だアンタ!!」


男が振り向くと、そこには奇妙な面を被った人物がいた


『僕を知らないのかい!?
かの有名なアンパンの顔をしたヒーロー、“アンパンかもしれないマン”だ!』

「は?」


男は完璧にペースを崩されている


『こほん。とにかく!
白雪には手を出すな』

「あんた、俺のことなめてるでしょ」

『いや?』


その言葉をキッカケに、二人は動いた


『ちょっとちょっとー
いきなり攻撃しないで欲しいな〜』

「あんただって動いたでしょうが」

『僕は、愛と勇気だけが友達の正義のヒーローなんだよ』

「どーだかっ」


アンパンかもしれないマンがすっとよけて去っていった


「ちょっ…」

『まあまあ、白雪のこと見ててみなよ
あの子、面白いからさ』


去りがけにそう残して屋根から屋根へと飛び移っていった






─────────







一方白雪は城の廊下を歩いていた



「(確信か…私もどうやってその人だって見極めよう)」

「何をしている」


白雪が柱に背を預けていると、一人の男がやって来た


「宮仕えの者か?」

「あ…いいえ␣␣私は──」

「どうやって城内に入った?」

「!……詩人の門からです。ある方の許可を頂いて…
これからお会いしに行くので、不審に思われるのでしたらご同行されますか?」

「何……!?」

「こっちです」


そう言って歩きだそうとした白雪を、男は抜剣して止めた

侵入者を見つけた以上、この場より奥へは行かせられん…と


「外部の人間を城に招くなど、権力なくしては出来ぬ事
それほどの方に招かれるような身分が君にあるようには見えんのでね」


白雪は少し間をあけたあと、一言言った


「………じゃあ、あなたの言うように私がここにいてはいけないのなら、その剣で切り払って止めればいい」


そう言って歩き出した


「……おい、退け娘!斬るぞ!!」

「お好きに」


白雪が通り過ぎる際、男は剣を収めた


「お見事!」

「「!?」」

「こりゃ、矢を射たくらいじゃ引かないはずだ」

「だ、誰っ…」

「ははは、大丈夫␣何もしないよ
見つかっちゃって身動きとれないからね」


白雪に笑いかけた青年の下にはミツヒデと木々が待機していた


「あの伝令も矢文でキミを脅したのも、その人じゃなく俺の仕事だ」

「え……」

「くだらんことを言うな
殿下の為を思いわたしが一人でやったのだ
お前のような下賤者の手を借りてなどいない
今更言い逃れなどせん」

「…妙なところで自尊心の高いお方だ」

『ほんとーにね』



青年に同意する声が聞こえ振り向くと、また奇妙な面を被ったものがいた










To be continue……

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