赤髪の白雪姫

□第4話
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『ただいま!ウィスタル城!』

「お前は早くリュウのところに行け」

『へいへい』


朝子はさっと薬室まで跳んでいった


『リュウー』

「あ、朝子」

『えへへ。またやっ…ちゃった…』


朝子は急にふらつき始めたが、すぐに体制を立て直した


『おおっと……よし。うん、大丈夫!』

「…どこも大丈夫じゃない。座って」

『……はーい』

「原因、ある?」

『うん。この林檎…って、もうかじり跡が乾いてる
うん、薬作るために汁を出そうか』


そう言うと朝子は…林檎をかじった


『モグモグ…ふぁい』

「こらっ、朝子!」

『げ…ゲン』


差し出した林檎を片手に、げっ␣と顔をしかめる朝子


「口から出して喋れ!俺はゲンじゃない!てか何食べてるんだ!!」

『ゴックン␣␣␣apple!』

「飲み込むなあぁぁ!!」


ゼンが朝子と話していると、リュウは薬草園に必要な薬草を採ってくると言って出ていった


「リュウ、すまないな」

「俺は大丈夫です」

『ごめんねー?』

「…無理はしないで」

『はーい』



リュウが完璧に部屋を出てから、散々ゼンにこってり絞られた朝子だった


「お前はなんて無茶をするんだ、まったく……」

『まあ何もなかったわけですし…
あ、リュウ!薬ありがとう!』

「うん」

「お前は暫く休んでろ」

『あいあいさー』


朝子は仮眠室に行き眠りについた


──数時間後




「朝子!」

『ん…ゼン?』

「白雪の帰りが遅いから迎えに行ってくるぞ!」

『んじゃあ私も行くー』

「………わかった、助かる」


二人は白雪が出かけたと言う山へ向かった



『どこにいるんだろう』

「それはわからん」


ふと、二人の耳に小さな声が聞こえた


「──あんたさ、今ここで逃げたってまた別の奴に狙われるかもよ

貴族やら王族やらに自分差し出せば安全だろ
守られながら贅沢もできる

うまい使い道だと思わねーか

なあ、赤髪」


「私は

─そんな道に興味はない」


「……!だから俺が連れてくんだよ」


その言葉で二人は動いた

ゼンが剣で男の持っていた松明(たいまつ)を振り払った

そのあと朝子が捕まえた


『白雪、よく言った!』

「よう白雪
日帰りじゃなかったのか?」

「──…ゼ␣␣␣␣␣ン」

「怪我は?」


白雪のとなりに手を置き問うゼン


「あ、平気!なんともない」

「そうか」


ふー…と安心したように息を吐くゼン

ヨロリと朝子が相手した男が立ち上がる


「…う␣␣␣ぐ
へっ…護衛がいたのかよ……

なんだ
赤髪献上した先で、オレがその役目貰って稼ぐ手も…あったのにさ……」

「そんなことも考えていたの?」

「痛っ…そーだよ」


すでに諦めたような男は話し出す


「地位とか家名だって
財を失えば素っ裸になるんだぜ

稼げるもん使って稼いでおかねえでどうすんの?」

「黙れ」


ゼンが男の前に立ちはだかる


「この娘がおまえの目にどう映ってるかなんてしりたくもないけどな
白雪はひとかけらだって道具とされる為にない」

「白雪ってーのか…」

「その口で名前を呼ぶな!!」

「なんだよ、あんたお父さんか?」

『お父さんかっこいーい!』


二人にお父さんと言われて落ち込むゼン


『あなた、名前は?』

「オレは巳早」

『巳早……ああ、あの』

「なんだ朝子、知ってるのか?」

『シスク家の人でしょ?
お兄さんやお父さんなら知ってるよ…』


朝子は内心顔を歪めながら言った


「そうか
白雪、この男他に仲間は?」

「え? あ、どうだろ……
誰にも会わなかったけど」

「…一人なら連れて山を下れるか
一緒に城まで護送しないでもふもとの役人に引き渡せばいいしな」

「城!?」


巳早が驚愕の表情でゼンを見る


「あんた……実は何者?名前は?」

「………ゼン」

「──…!へぇ、聞き覚えがあるな……」

「白雪の友人だ」


その名は




クラリネス、第二王子の名──







『調べた限り、巳早に賊とかの繋がりはなさそうだよー』

「ああ」

『ま、年の為␣␣暫く身を守る用心はしておいてねー』

「わかりました!」


朝子は一足先に城に帰った

白雪とゼンは二人きりだ


「ゼン、怒って…」「お前にじゃないからな」

「……」


次の瞬間、白雪はガシッとゼンの肩を掴んだ


「なら、怒ってないなら…少しだけでいいからこっち向いてて!10秒!!

ゼン、迎えに来てくれたこと……言って足りるものじゃないけど、ありが─」


ゼンは最後まで聞かずに白雪の頭をくしゃくしゃと撫でた


「5秒で充分だ」


それから、バツが悪そうにうなじに手を置いた


「白雪…あの山猿が別れ際におまえに訊いて答えなかつたやつ、俺から訊いてみても構わないか?」

「なぁ赤髪、あんたの言う自分で行くと決めた場所ってどこよ?」


「あー…それ、私がこの国に来るって決めた理由
この国でゼンがどんなふうに生きてるのか見たいと思って

だから、それが叶う場所を見つけるんだ」



␣␣␣␣␣自分が望んで立つ道は



「…その場所、俺からもおまえが見えるとありがたいな
白雪、俺も礼を言う

無事ていてくれたからな」



␣␣␣␣␣きっとまぶしい

␣␣␣␣␣おい風が吹く



「さて、そろそろ木々とミツヒデも来るかもな
俺と同じで城抜け出すの得意なんだ」

「同じでって、ゼン……」

『そーれは、すぐに抜け出す王子のせいではー?』

「朝子!?」

「あ、私朝子さん初めてちゃんと見たかも!」

『なら、改めて初めましてだね』





白雪の存在


それは、誰にどういう影響を及ぼすのか………





To be continue……

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