銀魂 ◆ 蟻地獄
□09 蟻地獄
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「では美緒さん、明日の夕方に迎えに来るんで。
美緒さんが今夜屯所にはいないと思うだけで、辛くて仕事になりやせん、って事で俺も今から有給休暇に入ります。」
くれぐれも外出は控えてくだせぃ。と沖田くんは言葉を残し、手を振ってパトカーで颯爽と行ってしまった。
目の前の看板を見上げた。
かまっ娘倶楽部
嫁いでからまだ一週間とちょっとしか経ってないなのに懐かしさが込み上げて目が潤んでくる。
てる彦くんもちょうど外から遊んで帰って来て一緒にかまっ娘倶楽部に入って行った。
大繁盛!
まだ夕方なのにこの繫盛っ振りは何だろう。
てる彦くん曰く、私が真選組局長の妻になったことで、真選組・幕府御用達のお店と噂が広まり、幕府関係者だけなままだしも、天人の要人も馴染みになっているという…。
真選組がここまで影響があるとは本当に驚きだった。
唖然としていた私に気付いたのか、手の空いているかまっ娘俱楽部の面々が寄ってきては「お帰りー」と声をかけてくれた。
あずみさんには「三行半を突きつけられてのご帰還〜。」とからかわれた。
そしてゆっくりママが歩いて近づいてきた。
何と言えばいいかの考えていたけど、ママは無言で抱きしめてくれた。
おそらく土方さんが事前に連絡を入れてくれたんだろう。
「おかえり。今日はゆっくりしてなさいね。」と帰省理由も何も聞かず、温かかい笑顔をくれた。
その笑顔で、今までの不安や不満が溢れてきて、ママの胸の中で思いっきり泣いた。