銀魂 ◆ 蟻地獄

□01 蟻地獄
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先日てる彦くんと歌舞伎町界隈を散歩してわかったこと。


万事屋はちゃんとありました!けど、例の三人はいつも出掛けているみたい。


あと、真選組、怖い!やくざです!

沖田さんが犯人捕まえようとして家一軒本当に壊した。権力を恐怖で壊された住人は文句言えない。



元いた世界では、彼らと出会って恋をしてイチャイチャして……とか夢小説を読んだことあるけど、ぜーったいにありえない。

現実は現実、夢は夢。


私はここで平凡に暮らして人生を謳歌するぞー。




そんなこんなで今日もてる彦くんと散歩してます。


てる彦くんも美緒ねぇちゃんと慕ってくれている。本当に弟見たい。



ママから内緒のお使いを頼まれたの。
てる彦の新しい靴買ってきてと。内緒だから一人で買い物しなくては。

お買い物してくるから、橋の欄干あたりで待っててとてる彦くんを一人残した。



でもそれが間違いだと後悔した。



そして近所の悪ガキどもがてる彦くんのお守り、ママが一生懸命作ったお手製のものを、オカマが作ったお守り、いやいや父ちゃんだよ、母ちゃんじゃねぇと、からかっている。

しまいにはそのお守りを川に投げてしまった。子供の悪ふざけには度を超えている。


すぐさまかけっ寄ったけど四方八方に散る悪ガキを一人も捕まえることもできず、気にしてないよと涙目で言うてる彦くん。


もういいよーと叫ぶてる彦くんに耳を傾けず私は着物の裾をあげ、川の中に入りお守りを探す。


だって、あれはママがてる彦くんの為指に針が刺さっても最後まで作り終えた愛情が籠ってるお守りだよ、諦められない。


運がいいことに五分ぐらいで見つかった。
ありがとうと泣きじゃくるてる彦くん。

こちらこそありがとう。

ママやてる彦くん達のおかげで私も今幸せなんだよ。






この様子を建物の影から見ていた黒づくめの男が懐から電話を取り出した。

「オレだ。カマっ娘倶楽部にいる女だ。……あぁ、早急にな。頼んだ山崎。」



後戻りもできない、蟻地獄のような性春物語が既に始まっていたとは、美緒はしらなかった。
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