銀魂 ◆ 蟻地獄
□01 蟻地獄
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気が付いたら知らない場所だった。
家も道路も何もない。
あったのはお寺、ただ一軒だけだった。
「美緒、美緒、何ボーとしてる?開店の時間だよ、早く準備しな。テメーらも、もたもたすんじゃないわよ。」
はい、ママ!とオカマ達が声を揃えて返事をする。
ギャルのようにキャーキャーうるさいオカマ達も毎回ながらママの一声で軍隊のように揃ってします。
ママの偉大さに改めて感心する。
「あずみさん、これが本日ご予約リスト。新規のお客様が2件あるけど、山本様のご紹介だから問題ないと思うよ。」
「あーら、ありがとう。美緒。」
さあ準備しなくっちゃと腰をくねくね振って歩くあずみさんは面倒見が良くて本当に頼りになる姉さんだ。あごが気になるけど…。
突然タイムスリップした私が、かまっ娘倶楽部で働いている。
そんな日常がずっと続いて欲しい気持ちと現実に戻りたいと毎日せめぎ合っている。
タイムスリップ直後、見渡す風景と出会った人の風貌・しゃべり方ですぐにわかった。
過去にタイムスリップしたんじゃないかと。
言い換えると、この時代の人も私の事をこの時代に人ではないと目に映ったと思う。
でも普通に受け入れられたのは宇宙人もこの地球に暮らしているという。
宇宙人、そう。
ココは過去だけど異次元の過去。
運よく最初に出会った人が そのただ一軒しかないお寺の住職さんであり、この住職さんに声を掛けられ、そこで保護してもらえることになった。
この土地や言葉・通貨など色々教えて貰った。この時代の住民票も作って貰った。私文書偽造だけど、まぁいいっか。
そこでわかったのは昔の江戸の時代によく似ており、日本の西の方ということだけ。