Bloody Eclipse
□第35話 それでも姉だと言えるのは
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「その女って誰だよ」
逆巻アヤトが不機嫌に聞いてくる。
「シュリーだ。過去の、な」
「そもそも、姉上が貴方がたの過去の姉と何故分かるのです?それに、時間軸がおかしい」
逆巻レイジが言うことは間違っていない。
だが、
「どういうことかは今は言えねえけど、姿や声は変わってんのに怖えくらいに姉さんは変わんねーんだよ」
まあ、始祖としての姉さんに初めて出会ったときはこの俺でさえ戸惑いを隠しきれなかったしな。
「再会したときはアンタなんて知るわけないでしょ、とか言われちゃってショックだったよね〜…はは…」
「うん…でも、やっぱり、お姉ちゃんは、お姉ちゃんだった…」
「ああ、アズサ。そうだな」
何故かなんて未だ分からない。
でも、確かに姉さんは姉さんなんだと分かるんだ。
「ふうん、なるほどね…だからあんたたちはユイを俺達の元に戻したってわけか。シュリーがいずれあんたたちのとこに戻ってくると分かっていたから」
確かに俺達は一度あいつを計画の為にさらったがそれは違う。
あいつ自身が戻ることを決めたんだ。馬鹿らしいかも知れないが慣れ親しんだ逆巻家にいたい、と。
それを知らないとはとんだ笑い話だな。
あいつが苦労するのも分かる。
「それにしても、姉上の存在が計画に関係しているとは驚きでしたよ」
「何故知っている…」
姉さんが計画に関わっているなど、本人すら知らないことのはずなのに。
侮れん男だ、逆巻レイジは。
「さあ?とにかく、今は彼女が目覚めるのを待つしかない。…スバル、」
「あ?」
「屋敷からこのメモに書かれたものを今すぐにとってきなさい。これさえあれば傷は多少治りがよくなる」
「は、なんで俺なんだよ」
「末っ子だからです。さあ、急ぎなさい!」
「チッ…仕方ねーな…なんで俺ばっかり…」
「何か?」
「っ何でもねーよ。こいつのためなら仕方ねえし…」