Bloody Eclipse
□第29話 出会ったひとりの女
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「今日からお前たちの面倒を見る奴だ」
突然教官が連れてきたのは一人の女だった。
ここは地獄。
しかも当時の世界は男社会。
女が来るなど珍しいにもほどがある話だ。
「宜しくね、皆」
そう言うと彼女は強くも柔らかな笑顔を浮かべた。
なあ、
その微笑みの中に宿る光は、何だ?
何故俺たちを慈しむような優しい顔をする?
どうせ、お前もそこの教官と同じだろう?
俺達を見下し、弄り、奴隷のように扱うのだろう?
女だろうが変わらない。
寧ろ男より惨いと俺は知っている。
愛を囁いて近付き、最後の最後は裏切る。
俺の母と同じ様に…
そう思っていた。
「ですがっ…」
あの日、その光景を見るまでは。