禁断の果実ができるまで
□第46話 なんでもない会話
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「待った!ルキくん!」
「なんだ、コウ。」
「なんだ、じゃないよ!なんでボンゴレちゃんじゃないの!」
ある日の夕食。
「はあ?コウてめえ毎日毎日毎日毎日」
「僕らは鉄板の上で焼かれて…やになっちゃうな…」
「ぷっ…!」
「ぶふっ…アズサ、てめ卑怯だぞ!!」
「…何それ。何がそんなおもしろいの」
ルキまで笑ってんじゃん。
「姉さん知らねえのかあ?鯛焼きが旅にでる歌…ぶふっ…海に逃げ込んだらあんこがふやけて出てきちまうだろ…!」
「もーっ、ほんと毒気抜けちゃったよ!」
「ぜんっぜん分かんない。」
聞いたこと無いし。
「やになっちゃうな?やになっちゃうよ…?」
「はあ…どちらでもいい。さっさと静かに食べろ。」
「はあい」
無神はみんな食事をするから、アタシも付き合うことにしてる。
まあルキのご飯はまずくない。
「ていうかタイヤキ…?って何?」
さっき気になったことを聞けば驚くコウ。
「えっ!?知らないの?」
「知るわけないでしょ。万魔殿に幽閉されててそんな新しそーな食べ物」
あいつら偏食だし。姉さまもアタシも食事はしてなかったし。
「ルキくん、鯛焼きって新しい食べ物なの?」
「いや…まあ姉さんからしたら数十年は新しいに入るだろうな」
「ええっ!?でもそうだよねー…」
「要は俺たちが人間の頃に無かったもんは知らねえってことだろ?」
「アタシに聞くな。知るわけない」
「じゃあ…今度鯛焼き…」
「あ、ならタコヤキ?だっけ?食べてみたい」
「…たこ焼き?なんで…?」
「あー、アヤトちゃんがタコヤキ好きらしくて。でも知らないから興味あんだよね。何だろ、たこ入りのシュークリームみたいな感じなのかな?」
「…そうか、あいつらのこと知らないのか」
「んーん、会ったことないだけ。まあシュウちゃんとレイちゃんとスバちゃんは面識あるけどねえ。あ、あとライトちゃんも」
「そうなの?」
幽閉される前しか逆巻の屋敷で暮らしてないんだから。
「そだよ。ま、どうせなら直接聞きたかったんだけど当分無理そうだし。」
「いやいやいやいや!会ったら駄目だよほんとに!」
「逆巻さんは…何するか、分からないし…」
「野獣っつーか、下手したら近親強姦だろ…」
「てかアイツ…ライトは既にやっちゃってるしね絶対絶対会っちゃ駄目に決まってる!」
「ニートはニートだしレイジはめんどくせーし」
「アヤトくんは一番一番五月蝿いしスバルくんは俺が嫌いなタイプだし?」
「カナトさんは…狂気の沙汰…」
「「「お前が言うな」」」
ダンッ!
「言いたい放題気が済んだ?」
アタシだってアタシの力を悪く言われるのはイライラする。
「ていうか…アタシを舐めてんの?たかがヴァンパイアにアタシがやられる隙なんか無い。しかもみんないい子だよ?ね、ルキ」
「…」
「んもう!酷いなあ。黙り通しなんて。…ま、いっか」
アタシは静かに座ると食事に徹した。
(あ、危なかった…)