禁断の果実ができるまで
□第43話 紅の雫T
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「外すか…」
チャリ…
揺れる雫に触れる。
「姉さまがくれた、忠誠の証…」
でも、アタシは忠誠な妹にはなれなかった。
「失格だもんね…もうアタシは姉さまの傍にいないし」
愛されてないと知ってるし。
「…何これ」
「薔薇…?」
雫の中に埋め込まれてる、金属でできた薔薇。
「これ…御婆様のブローチと一緒…」
まあそんなの幾らでも有り得ることか。
御婆様は始祖…しかも王族だもん。
でも、何か引っ掛かる。
「…やっぱ外すの止めよ」
アタシはミニハットを被り直した。