禁断の果実ができるまで


□第32話 あの日さえ
1ページ/1ページ


なんで?

なんでアタシに優しくするの?

地位も金も存在理由もないアタシになんで笑いかけるの?







『大丈夫?』

こんなことを考えているとふいに思い出したあの日。

『まったく穀潰しは…彼女は眠っていただけだというのに大袈裟ですよ。』

『…?アタシは…』

『君は1週間目を覚まさなかったんだよ。頭蓋骨割れてたんだからまだ起き上がれないと思う…。あっ、僕は逆巻シュウ。こっちが…』

『逆巻レイジ、貴女の義弟です。何かあれば何なりと』

『義弟…?』

『うん、僕たちの母はベアトリクスだから。』

『あっ!そうだ、レイジと林檎剥いたんだ。食べる?』

『殆ど私が剥きましたけどね。どうぞ。』

『うん。シュウちゃん、レイちゃん、ありがと。』

彼等とはじめて出会った日。

あの日さえなければよかったのかな…。



 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ