禁断の果実ができるまで
□第31話 追いかける残像
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行く宛もなく走る。
『散々な様子だな』
うざい…高笑いなんかして
『半端者、誰が目閉じろって言ったんだ?』
アンタの顔なんか見たくない
『おい、いつまで黙ってるんだ。ああ…それとももっと地獄へ堕ちたいのか。ならばくれてやろう、火がいいか?それとも水か?特別に選ばせてやる』
そのまま死ねたらいいのに
『とんだ貪欲さだ。いいぞ、望み通り両方くれてやる』
死にたいんだ、もう
『喉が渇いただろう?水を口に入れてやる。ああ…だが呑み込むなよ?目一杯溺れるんだ。』
もういい、そのままアタシを殺せ…
『仕方ない。また傷がふさがるまでこのままにしておこう。始祖は寛大だからな』
いいからアタシを殺せ!!!!!!
…………
「どうして死ねないの…アタシはなんで死ねないの………」
まだヴァンパイアだと信じていたあの頃は分からなかった。
「生まれてこなければ良かったのに!!」
どんなに苦しくても逃げられない事を受け入れるしかないの?
「姉さま…」
姉さまが本当にアタシを愛しているなら少しは違ったのだろうか。
「でもね…知ってるんだ…姉さまがアタシを愛してないことなんて……」
誰もがアタシを嫌ってることなんて、知ってるんだよ……………