禁断の果実ができるまで
□第50話 失踪とともに始まる
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「っルキくん!」
「居たか!?」
「…ダメっ!どこにもいないよっ!!」
「はあ、はあ…こっちもいねえよ…!姉さん…どこ行っちまったんだ…」
「こっちも、いない…」
「ふつう、あの方の術がかかっててこんな簡単にエデンから出られるもんなの!?」
「普通なわけがないだろう…姉さんは…始祖だ。しかもコーデリアの娘だぞ。どう考えてもヴァンパイアよりは強い。」
「じゃあどうしろっていうの!?俺たちじゃおねーちゃんを止められないってことじゃん!!」
「だが…出来る限りのことはしよう。」
「ルキ…うん、俺も探す…」
「ああもうめんどくせーことはいいからさっさと始めようぜ!」
「分かった。じゃあ俺東探してくる!」
「アズサは南、ユーマは西!何かあればすぐ知らせろ!」
「待ちなさい」
「っ…!カールハインツ様!」
「ルキ、コウ、ユーマ、アズサ」
「イブの林檎計画を進める。仕事に当たってくれ」
「しかしよいのですか!?エデンに閉じ込めていたシュリーは!!」
「すべては必然。それに、またすぐに彼女にも会えるだろう。だから計画を進めようと思ってね。」
「…分かりました、カールハインツ様。お前たち、下界に行くぞ」
「頼んだよ、私の息子たち」
「やれやれ…」
やっとエデンから出て行ったようだ。
『随分な溜息だね』
友人の声に笑って返した。
「待ちくたびれてしまったよ。」
『だがあとはイブと林檎次第というところだな』
「ああ。これで私たちが目指した―――あの世界を作り出せる」
シュリーとアルマという、林檎があってはじめてイブの林檎計画は始まるのだから。