Bloody Eclipse
□第17話 気付いてない
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なるほどね。
向き直った無表情のままの姉様の顔を見て、大体は分かった。
要は姉様は何か知りたいことがあるのだろう。
所詮姉妹とはいえ姉様は純血の始祖、アタシは混血。
始祖の考える何かなんて、アタシには分からない。
だからアタシに、チャンスをくれたってわけだ。
「で…姉様、行くって小鳥ちゃんのとこでしょ?」
「それ以外にあるとでも言うのかしら」
「ないけどさ」
最初から計画には加担する気ではいたから仕掛けてるんだ。
「気付いてるでしょ、あの子たちにかけた、裏切りの罠」
カールハインツの思惑通りなんて反吐が出るくらい嫌なんだし。
勿論、小鳥ちゃん――ユイをアタシが今はまだアダムから引き離しているのもカールハインツの手の内という鳥籠から出すためなんだから。
「あのゲテモノたちの様子を見れば分かる事よ」
「さっすがアタシの姉様♪」
察しがいいよね、ほんと。
「じゃ、裏切りの罠を完成させに一緒に行ってもいいでしょ?今日は中途半端は嫌な気分だから…さっきは姉様に止められちゃったしね」
そう。
始祖は嫌いだけど、アタシがヴァンパイアだって嫌いなのを姉様は知っているから。
ヴァンパイアのあの子たちをわざと逃がしたとき、あれがアタシの仕掛けた、あの子たちへの罠だと分かっているから。
「呆れを通り越して流石、わたくしの妹ね。まったく、次々とよく罠を引っかけるのだもの」
「んふ、それは褒め言葉。
…みんなの絶望の顔、早く見たいなぁ」
でも、
その裏切りの罠が別の意味でも裏切りの罠だと、まだ気付いていない。