Bloody Eclipse
□第13話 対峙する
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「っ兄さん!」
「喧しいぞ、シン」
むっとした顔がマフラーから覗いている。
でもそれどころじゃない。
「アイツがいるなんて知ってた!?」
事実を告げれば刹那、兄さんの顔が究極に強張る。
兄さんだけじゃない、オレもだ。
この魔力…アイツしかいない。
カツンという靴の冷たい音が目の前で止まる。
途端、
「ぷっ…カルラ、アンタ制服似合わなっ!実年齢考えたら笑っちゃう…!!あ、そんなこと言ったらシンも大差ないか!」
大袈裟に笑うのはあのクソ女、シュリーだった。
「貴様…何故ここにいる」
「久し振りだねえ!カルラ。シンはもう授業で会っちゃってるけど♪」
馬鹿に明るく振る舞う。
それがわざとでしかないから苛っとしてくる。
「答えろ」
そんなシュリーに兄さんは苛立ちを向けてきつく睨み、詰め寄った。
「もう、せっかちなんだから…何故ってここで先生してるだけだけど?…あ、姉様は流石に乗り込めなかったかあ。取り敢えず脱出おめでと、王サマ♪」
にこり、笑っていない目で笑う。
「嫌味か」
「ん?そう思いたければどーぞ」
相変わらずウザい奴。
「調子に乗るな」
「調子に乗るも何も…だってわざとなんだから。」
でも、コイツは平然と切り返した。
「計画を邪魔するなと言ったはずだ」
「邪魔?なんでそうなんのさ。アタシは小鳥ちゃんをヴァンパイアから守ってたってのに」
「貴様ぁ…」
あの兄さんが最高に怒ってるのがよく分かる。
「ていうかアタシもほんっとに最近まで気付かなかったけどまさか万魔殿の結界がアタシの作った魔術とはねー」
そして、それでもなお呑気なコイツにオレも最高に苛々している。
「そんなはず無いだろ!」
こうさせるつもりだったんだろうからかなり癪だけどオレは我慢できず苛々をぶつけた。
「バレた?んふ。シンってばほんとすぐ怒るんだからー」
「はあ!?怒るに決まってんだろ!!」
「カリカリしないの、シン。アタシを痛めつける時間は嫌と言うほどあんだから少しくらい喋らしてよ」
「シュリーてめえっ!」
今にも噛みついてやろうかと思うくらい余裕ぶってるコイツがウザい!!
「シン!…黙っていろ」
「でも兄さんっ!」
「アルマとの約束だ、守れ」
「っ」
怒っているのは兄さんもなのに、またも止められてしまった。
何故止めるか分かっているからそれ以上言い返せない。
本当に苛々する。
「…じゃあ、諸々喋るね?」
そう言うとシュリーは空き教室へとオレたちを連れて行った。