Bloody Eclipse
□第11話 運命は血によって
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「アイツらの目的は…ユイの血だもん」
やっぱり彼らも私の血が目当て…私は所詮餌扱いなのだろうか。
そう思うと何も考えられなくなる。
ただただ、普通の暮らしがしたい…そんなことも叶わないのだから。
「ったく…小鳥ちゃん、なあに傷ついてんの?血が狙われてんだっていう危惧?」
「っ…」
不安が顔に出ていたらしく、いつになく不機嫌なシュリーさん。
「ほんと、ずっるいなあ。アンタは魔王の娘の血を持ってるだけで…人間なのに愛されちゃってて。」
ぎり、と手首を締め付けられる。
「い、たい…」
どうして…今までシュリーさんはこんなことしてこなかったのに。
「ユイっ!」
とっさに身体が動いた彼は、
「あー五月蝿い。ちょっと黙って」
「っく!」
あっけなく押さえ込まれた。
「白々しい様子なんか見せちゃって、懐疑心でいっぱいで、偽善者で…憎いくらい可愛い」
私を見る金の瞳が強く光る。
「わかる?このキモチ。愛されたいって自分のことばっかの人間が愛されてて、しかも未だに愛されてる自覚なんか無い。ユイのそういうとこにシュリーちゃん、苛々しちゃってんの。」
「なんで…っ」
「アンタ馬鹿?何でも何もないでしょ」
違う。
そうじゃない…
「なんで、寂しそうな目をして、るんですか…っ」
「寂しい?辞めなよ、虫酸が走る。アタシは寂しくなんかないしそもそも最初から1人だ」
「でも…っ!」
「殺すよ」
「っ…」
「大体、人間の言うようなまともに育つヴァンパイアも始祖もいるわけ無い。アタシたち魔族はいつだって、自分が第一だから」
「ねえユイ、そうでしょ?優しくしてくれるのはイブという存在だから。好きなのはアンタ自身じゃなくてアンタの血。アンタの心の底の懐疑がアダムを選ばせなかった。」
「シュリーさんは…愛を信じてないんですか…?」
「当たり前でしょ。信じるなんて馬鹿げてる。それにアンタだって信じて無いじゃん」
「っ」
「信じて無いくせに愛だの恋だの言わないでよね?馬鹿らしいから」
「一応忠告しとくけど、アイツらにそういうこと言ったら死ぬよ。勿論、そこにいるヴァンパイアもろとも、ね」