Bloody Eclipse


□第4話 カミングアウト
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「アタシが純血のヴァンパイアだとでも思ってたの?考えてみなよ、一緒に住んでた頃、臭いって散々言ってたじゃない」

その言葉にレイジさんは顔を歪めた。

「でもシュリーちゃんは臭くないよね?むしろ…はあ、いい匂いがするよ」

「まあ懐かしくなるのも分かるけど、それはアタシの血の匂いを消してるからだよ」

ライトくんの変態っぷりを見事にスルーするシュリーさん。

兄弟っていうかシュリーさんは凄いなあって思う。

成人しているからなのか大人っぽくて、私なんか子どもだってよくバカにされてるのに…

そしたらいつもならソファに寝転がりながら怠そうに答えるのに珍しく体を起こしているシュウさんが口を開いた。

「……始祖

あんた始祖なんだろ…」

「さっすがシュウちゃん。当ったりー♪」

シュリーさんはピンポーンと指で示した。

「は…?始祖?」

だけど他の皆はぽかんとしている。

「しかし、始祖は万魔殿に幽閉されているはずでは…」

「幽閉されてるよ」

シュリーさんは当たり前かのように言った。

「へえ、つまり僕らが生まれる前…始祖が幽閉されたときシュリーちゃんがいなくなったのはそういうことなんだね?」

「そうだよ。始祖と一緒に幽閉されてた」

「じゃあなんでここにいるんですか」

「さあね。つい数十年前にアタシだけエデンに移されてたんだから訳わかんないんだよ。なんでアタシは幽閉されてたんだか、って」

「そんなとこだとは思ったけどあのクソ親父…めんどくさ」

「まあ純血じゃないから出されちゃったって感じなのかなー。




カールハインツの考えなんて死んでも知りたくないけど」




「…だる……始祖とかヴァンパイアとかどーでもいい」

「皆がそう思うなら良かったんだけどねえ」

魔族は純血に拘りすぎている。

そう呟くシュリーさんは少し辛そうに見えた気がした。

私以外は気付いてないみたいだけれど。

「つか俺様たちとは血が繋がってんだろ?」

「そだよ」

「じゃあ僕も始祖な――」

「きゃははははっ!無い無い無い無い!ヴァンパイアの血が4分の3もあれば始祖になんかならないって!!」

カナトくんの声を遮ったのはシュリーさんの爆笑だった。

でも…

「4分の3?ってどーいうことだ?」

アヤトくんが私の思ったことをそっくり問いた。

「んふ、やっぱり知らなかったんだ………アイツが始祖だってこと。」

ちゃんと説明するとね、そう言ってシュリーさんは私から離れる。

「アタシたちの祖母は純血の始祖。祖父は元魔王…んでその娘が、母様。そしてカールハインツと結婚した母様はアタシたちを産んだ」

「じゃあ…なんでシュリーは始祖で僕とアヤトとライトはヴァンパイアなんですか?」

「あのねえ…アタシの実父が始祖だからに決まってるでしょ?アタシは所謂不倫の子なわけ。できちゃった、必要無い妾の子。」

「しかも女だったから扱いが酷かったんだろ…ふあ…眠い」

「まあ殺してくれたらよかったんだけど何したって死なないし、突き落とすのがアタシへの愛だっていうんだから仕方ないよねー」

けたけたと笑い続ける彼女に私は何もできなかった。

 

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