Bloody Eclipse
□第2話 はじめまして
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「ただいま戻りましたーっと」
扉を勢いよく開けて入ってきたのはライトくんに似た女性。
だけど、焦げ茶色ではなく深紫色のゆるいウェーブがかかったミディアムヘアに乗せられているのは帽子…ではなく鮮血の雫一粒のようなチャームが付いたミニハット。
にこりと道化師のように大きく笑い、口元ではなく左目の下にある涙ぼくろが魔界の女性らしい妖艶さを醸し出している。
豊穣な胸元には赤いシルクリボンが緩く結ばれていて、それを受け止めるように真っ黒のカーディガンがその身を包む。
膝下までのベージュのスラックスには齧りかけの林檎を模したアクセサリーにチェーンと真珠。
金色の蛇目の美しさに思わず吸い込まれそうになる。
「五月蝿い…はしゃぐな」
「いいじゃん」
怠そうにしながらも少し嬉しそうにするシュウさんにやっぱりこういう人が好みなのかなーなんて思う。
そういう様子に所詮私は血しかないって気がしてくる。
「おかえりなさい。お客さんですか…?」
「こ…小鳥ちゃん!会いたかったよお!!」
「きゃっ!」
恐る恐る声を掛けたらその女性に抱き締められた。
ふわりと漂う優しい匂いが鼻をくすぐる。
「こいつに抱きつくな…うざい」
シュウさんは彼女を私から引き剥がした。
「えー」
不満げにする彼女にどこか懐かしさすら感じる。
「あ、あの…あなたは…」
「皆来てからね。…あ、スバちゃん!この前ぶりだねえー!」
いつもと違う空気に気付いたのか、皆がリビングに現れた。
「っ…お前が何でここにいんだよ!!」
あのスバルくんが少し怯えたような気がした。
「そんな不審者見るような目で見ないでよー」
けたけたと笑ってみせた彼女に今度はアヤトくんが驚いたようだ。
「おい、どういうことだ!なんでライトが女になってんだよ!カナト、説明!」
「知りませんよ!!」
アヤトくんもカナトくんも知らない様子だ。
「んもー!びっくりしたよー!来るなら言ってくれればよかったのにー!」
ひゅうと口笛を吹いて2階から下りてきたライトくん。
「ライトちゃん!ごめんごめん、急だったから連絡できなかったんだー」
そう言ってにこりと笑い合う2人はよく似ていると私は思った。
「シュウ!父上から何か伝言はありましたか!」
「ない」
「そんなわけ無いでしょ?シュウちゃん」
「っ!その口調………」
「やほー!レイちゃん」
「っ!…姉上……」
え…?姉上?