Bloody Eclipse


□第7話 凌駕するチカラ
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「まあそんなこと言ったら殺されると思ってたから言えなかったんだろーなとは思ってたし…今死にたくないでしょ?だからアタシについておいで、ユイ」

「え…」

殺されると覚悟した矢先、とんでもないことを提案された。

「大丈夫、アタシは人間の血なんか飲まないし、ていうか血なんか飲みたくないしドSじゃないし!女子を襲う酔狂な女じゃないし!てかここでアタシが小鳥ちゃん保護しなきゃアタシは絶対牢屋行きだし!」

ドSなのは間違いないかと…

「ね、いいでしょ?みんな」

こくこくこくこく。

今のを見て逆らえないことを悟ったらしい。

私も生きる術はこの人に頼るしかないと悟った。

「よかったあ!物分かりの良い弟たちで!まあ始祖に逆らったらどうなるかなんて目に見えてるしね。んふっ」

「さっきから思ってたんですが始祖って……何ですか…?」

今更だけど始祖が何かよく分かっていない。

「あれ?ここまで話したのに知らない感じ?

…うっざ」

「っ!」

コウくんみたいなこの表裏の差に怯む。

でも素直に教えてくれた。

「始祖っていうのは魔界の万物の祖先。というか魔族の頂点。まあ一番人間に近い魔族」

「人間…に?」

魔族が人間に近い?

「魔族がどこから来たか…知りたいんだよね?レイちゃん」

「なぜそれを…」

「いやあ、魔族ってほんと馬鹿でねえ、人間より阿呆なんだよ。ほら理系の人間に聞いてごらん?遺伝子で分かるんだよそんなこと」

「んだと…!魔族をバカにしてんのか!」

「アヤトくん落ち着いて!」

「落ち着けるかバカ!」

それでもなお話を続けるシュリーさん。

「分子時計っていってね、遺伝子を構成する塩基ってやつの入れ替わりの量で生き物の近縁さが分かるの。だからといって人間と同じだとは思われたくないけど」

「意味分かんねえよ!」

「ほらね、人間より馬鹿。ま、アイツは流石に知ってたけどね。」

「いくら姉だとしても僕を馬鹿と言うのは許さない…っ!」

そう言ってカナトくんはシュリーさんに突進した。

「はあ…カナトちゃん、脅しは無駄だよ?」

…が、呆気なくかわされ、シュリーさんがくいと指を動かしたと思ったら叫び声が響いた。

「…うっ…うわああああああっ!熱いっ、熱い!!」

「っカナト!!…シュリー!テメエ何しやがった!!」

「身体の内側に火をつけてあげただけ。だってカナトちゃんは温かいの好きでしょ?」

「カナトくん……!!

シュリーさんっ、やめてっ!!」

こんな苦しそうな彼を見ていられない。

「なんで?カナトちゃんはアンタをさんざんいたぶってきたんだよ?虫けら扱いしてさ」

「でもっ!!」

それでも人が苦しんでるなんて見過ごせない!!

「ふうん。」

ぴた、と止まったシュリーさんは再びにやりと笑った。

「ばーか。ホンモノの火をつけるわけ無いでしょ?」

「でも今の…っ!」

カナトくんは本当に苦しそうだったのに。

「カナトちゃんの血を人間の体温と同じくらいの温度にしただけ。沸騰すらしないのに喚きすぎ」

「許さない…」

カナトくんのその言葉に狂うほどの怒りを感じる。

「どうぞ?許さずいたぶればいい。まあそうなったら確実にアンタは消えるけど」

でも、気にしていないようだった。

「…なに、小鳥ちゃん」

「そんなのっ!おかしいっ!」

平気で兄弟をいたぶるなんておかしいに決まってる。

「どこが?アタシの目障りなモノを排除するのは当たり前でしょ?だから、ね?生きたいなら逆らわないほうがいいよ。」

「ってわけだからユイはアタシが預かった!まあ無神んとこいるから何かあったら言いなよ。じゃあねん!」



 

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