Bloody Eclipse
□第8話 クルッテル
1ページ/1ページ
…気付けば私は無神のお屋敷にいた。
「おはよ、小鳥ちゃんっ!」
初めてあったときと同じ笑顔で抱きつかれる。
「きゃっ!シュリーさん!」
「あ、そだ…これあげる」
「…何ですか…?これ…」
「ユイはこれ知ってるでしょ?タイヤキ」
「えっ」
「脅しちゃったお詫び。買ってきたから1個あげる。」
「あ、ありがとうございます」
恐る恐る口に入れて食べ始めると同時にキィと音を立てて開いた扉からアズサくんが顔を出した。
「あ…たい焼き…」
「それ食べていーよ、アズサ」
「うん…ありがとう」
きれいな紙袋から1個取り出すとアズサくんも美味しそうにかじりはじめる。
「おー、またたい焼き食ってんのか?」
「ユーマも食べていーよ。あ、でもルキのアップルパイはちゃんと食べるから安心して?」
ひょいとつまむとユーマくんは一口で食べてしまった。
「ん、うま」
こうしてるとふつうに人間みたいなんだけどな…
「でも意外…」
「どしたの?小鳥ちゃん」
「いえ…やっぱり不思議な感じがして。」
「あー、あの子たちは晩餐くらいしか食べないからでしょ?」
「はい…」
「まあアイツら偏食だしアタシも無神家にいるようになるまで食事は殆どしなかったから全然今の食卓情報知らないけどね」
「アイツら…?」
「ていうかあんなんで近付かなくなるとかあの子たちは何なの?」
「いやあれは悪趣味だろ、姉さん…」
「そう?だって血の温度をちょっと変えるくらいなんて拷問にもならないただの遊びでしょ。不死身なんだしさ」
「…」
ああ、クルッテル…
逆巻や無神のみんなとは比べものにならないくらいだと思った。