禁断の果実ができるまで
□第11話 嫌っていたのはアイツもだった
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「!?」
現れた鏡には漆黒の狼姿がアタシの居た場所に映っていた。
「どう、信じる気になったかしら」
アルマは変わらず表情の分からない顔で鏡を支える。
「どういうこと…?アタシはヴァンパイアじゃないの?逆巻家の長女じゃないからアタシは閉じ込められたの?ねえ、アタシは母様と父様の子じゃないの?」
「そうよ、そして貴女をここに連れてきたのは紛れもない、カールハインツ。」
「なんで!」
「わからない?始祖の娘を野放しにするほど馬鹿なことはないじゃない。」
「嘘だよね?アタシはヴァンパイアの王、カールハインツの娘なんだよね?」
「…貴女は元軍曹であった始祖の父と魔王の娘、始祖とヴァンパイアのハーフである母を持つ正真正銘の始祖。わたくしたちの父とコーデリアが始祖である以上貴女は始祖なのよ。」
「なんで…どういうこと…」
「コーデリアは跡継ぎを生むことに執着してた。わたくしの父は力欲しさに魔王の娘に取り入った。結果貴女が生まれたのよ」
「っ…アタシは…大嫌いな始祖…父様、父様の子じゃないんだね…嫌っていたのは父様もだったんだ…」
だから万魔殿に閉じこめたんだ。
もう死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。
「…殺して」
死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。
「それでいいのかしら、まだコーデリアは生きている。カールハインツも生きている。地獄へ叩き落とすチャンスを逃して楽になるの?」
「…」
もう限界だ。そう思った。