禁断の果実ができるまで
□第8話 手に入れた魔力
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『さあ、跪け』
「………」
『なにをしている、早くしろ。俺はこう見えて気が短いんだ』
「………」
『聞こえない振りとはな。余程酷くされたいらしい』
「…五月蝿い」
『何だと…?』
「アンタなんか…始祖なんか滅びてしまえ…っ!」
『っ!?ぐはっ!!!!貴様っ………!!!!!』
「…はあ…はあ、はあ………」
アタシに何が起きたの?
わからないけど、大きな魔力がアタシから発せられた。
ヴァンパイアの力では有り得ない程の、魔力が。
証拠に始祖だった肉塊が足元に転がって、まもなく跡形もなく消えていった。
ああ、そうか。
アタシは始祖を殺せるんだ。
そうなら―――
アタシは始祖を駆逐してやる。
それからというもの、アタシは牢屋に入ってくる始祖を殺しに殺した。
本当は自分を殺したかったんだけど、始祖を亡き者にしなければ気が済まない。
「…死ね」
『ひっ!ぎゃあああ!!』
「始祖なんかっ、死んでしまえ!アタシの前から消えろ―――消えろっ!!」
変わらず手に填められた鎖は外れないのに、アタシは次々と始祖を殺していく。
沸き上がる魔力が暴発する。
アタシはただその衝動のままに振るっていった。