禁断の果実ができるまで
□第3話 臭い、下
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つるっ。
昨日の雨で茂みは滑りやすくなっていたのか、あろうことか桶の水がひっくり返った。
「わああああんレイちゃああああん」
「姉上!?大丈夫ですか!?」
いつになくあわてた様子のレイジ。
「シュウちゃんに水かけられたああ」
「シュウ!姉上に悪戯などなんということをしたのですか!」
「シュリー、ごめんなさい…でも僕だってわざとじゃないんだよ!泣かないで!」
シュウも自分も濡れたのに関わらず必死になる。
「意地の悪い…はあ、父上のところに行きましょう、姉上」
「ふええええ…ぐすっ…行くう〜」
そのとき、丁度屋敷の陰から誰かが出てきた。
「あっ、父上!」
レイジが声をかけるとうっすら笑った。
「おやおや、一体どうしたっていうんだい?シュリーとシュウ2人共びしょ濡れじゃないか」
「父様〜!シュウちゃんに水かけられたああ」
「でもわざとじゃないんです!ごめんなさい…」
「ふふっ、」
「父上?どうされたのですか?」
「いいじゃないか、気分転換だと思えば…そうだ、濡れてしまったのなら3人とも、プールで遊んでくればいい。」
すっかり泣き止んだアタシはぱああっと笑顔を見せた。
「行く!ね、レイちゃん、シュウちゃん、行こ!」
そんなアタシを見て、2人もつられて笑う。
「うん!レイジも行こう!」
「仕方ないですね…ついて行くだけ行ってあげますよ」
3人は地下のプールへと駆け出した。